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第9章

アルセウスの体が崩れ始める。
「我が、創世神であるこの我が!このような虫けらに!おのれえぇぇぇぇ!」
アルセウスが叫ぶ。
「圧倒的な力の前に何故貴様らは怯まない!?何故、何故貴様のようなネズミを信頼し命をかける!?貴様が力と恐怖で無理矢理やらせているわけではないというのに!?我と貴様、何が違うというのだ!」

「自我の無い者だけの世界を創ろうとする者になど、何万年かかろうがわからんさ!」

「っ……!!」


「自我が無い者だけの世界を創り、何が楽しい?感情の無い機械のような奴らだけが沢山いる世界など。逆らう者もおらず何も苦は無いだろうが、そのような世界何も面白くはない。」
「お前も自我のある者・・・人間を憎んでいたはずだ・・・。」
「・・・確かに俺は人間に虐げられ、憎んでいた時期もあったが・・・。そのお陰で沢山のポケモンと出会えた。・・・正直、扱いに困る変な奴らばかりだが・・・。
そしてあの赤帽子のような・・・少しはマシな人間がいる事も知った。
今思えばあの旅は楽しいものだったな・・・。泣き、笑い、怒り・・・すべては自我、感情を持っているからできることだ。
他人に何も思われず生きるなど、死んでいるのと同じ・・・土の下で眠っているように孤独だろう。だから俺は自我がある者がいる今の世界が好きだ。」

アルセウスは昔を・・・宇宙に一人、孤独に浮かんでいた頃を思い出した。


――「今、全てを思い出した…。
…我は存在していた。
何も無い場所。時も流れず空間も無い、我以外は何も無い。

我は一人だった。

ふと、我以外の存在を創ってみようと思いついた。
最初に創ったのはディアルガとパルキア…。
この二匹に命じ、まずは我以外の存在を置ける場所を…時と空間、世界を創らせた。
だが何も変わらない。ただ命令にしたがう置物が二つとその置物を置く場所が増えただけだ。

我は一人だった。

今度はこの置物に、我のように自我を持たせてみようと考えた。
エムリット、ユクシー、アグノムを創り、置物に自我を与えさせてみた。
我は恐る恐る…話と言うものをした。
何を話したか、など覚えてはいない。だが今までには無かった感覚…喜び、怒り、悲しみ…。

我は一人では無くなった。

我は浮かれ、次々と新しい存在を創りだした。
少しでも我以外の存在達が笑えるよう、悲しまずに済むよう、様々に手を尽くした。
色々な存在を創りだした。

…そして事は起こった。


様々な存在が増えた。
各々がそれぞれの存在の仕方を決め始め、新たなものを創りだすようになるまで成長していった。
その中で他の存在を必要以上に奪い始める者が現れた。
我は怒り、悲しみ、その者達を様々な方法で奴らを止めようとした。多少、犠牲は出たかもしれない…。
だが…奴らはそれに怒り我を存在を疎み、あろう事か我の存在を消そうと攻撃を仕掛けてきたのだ!

我は怒った。怒り狂った。
我は側近としていたギラティナやエムリット達の反対を押し切り…。

その者達もろとも世界を壊した。

…そしてまた創り直したのが今のこの世界だ…。だがこの世界もまた同じ道を辿ろうとしていた。
また創り直そうとしたが側近達の強い反対、離反によりそれは叶わなかった。
我は怒った。そして…最初にピカチュウ、お前に話したとおりだ、お前を利用し操り、無理矢理それを叶えようとした。

……………だが、それは間違っていたのだな………。
お前の言うとおりだ、ピカチュウ。
自我の無い者だけの世界など…また一人になってしまうではないか…。
………お前達のような者がいるのだな…。我は…過保護だったのかもしれん…。」


「……………。」
「くく…まさかこんな小さな存在に気付かされるとはな…。すまなかった…。謝っても謝りきれぬだろう…。」
「……………。」
「もう世界を創り直すなど愚かな事はしない…。最も……そんな力、もうすでに我には無い…。ピカチュウ、せめての罪滅ぼしだ、お前の大事な仲間をすべて元に戻してやろう…。」
「…できるのか!?」
「ふ…腐っても創造神だ、その程度容易い。」
「…頼む…。」
「その代わり、我に関する記憶は消させてもらおう…。我に対する怒り、憎しみ、悲しみ…今後の邪魔にしかならないだろう…。
そして時と空間も少々、いじくらせてもらう事になる。我が力だけでは最早…な。
様々な弊害が起こるだろうが…ピカチュウ、お前とその仲間達ならなんとかなるだろう。
そしてピカチュウ…お前にだけは覚えていてほしい…。一匹の、孤独で愚かなポケモンがいた事を…。」
「…ふん、死んでも忘れてやるものか!」
「くく…その減らず口…変わらんな。もう少し早くお前のような奴に出会っていれば…。」
「…………。」
「…では、さらばだ。」

「…ああ、さらばだ…友よ。」

「…!!創造神であるこの我を友と呼ぶか!?どこまで減らない口だ、くはははは!…我も…普通のポケモンとして生まれ、お前と出会いたかった…。ディアルガ、パルキア、最後の我のわがままを聞いてくれるか?」

――「…御意。」「…はい。」――

「ドドギュウウーン――


――気付くと俺はアカギが神を呼び出そうとしている所まで戻されていた。
辺りを見回す。

「ミミロップ…!ロゼリア…!ムウマージ…!ザングース…!」
俺は嬉しさのあまり声を上げる。
「な、なによお~?」
「な、なんですか?」
「なに~?」
「な、なんでござるか?」

…そうだった、アルセウスに関する記憶は消されているんだったな。
「い、いや。なんでもない。」
「「「…?」」」
ミミロップ達に不思議そうな顔をされてしまった。

「…もう誰にも邪魔はできない。」
アカギと呼ばれる人間が赤い鎖を天に掲げる!すると、赤い鎖が光だし…どうなる?
「―――――ッ!」
…現れたのはあの時、二匹現れた龍の片方だけだ。それに…前ほどの強大な力があるようには見えない。
………そうか。
「この―――で世界を創り直す!」
アカギが叫ぶ。
「ね、ねえ。あんな事言ってるよ!?」
ミミロップが焦る。
「大丈夫だ、あのくらいならあの赤帽子がなんとかしてくれるだろう。去るぞ。」
「ええ~!?あれだけ焦っといて何よそれ~?」
「…俺の勘違いだ気にするな。」
「もう!」「何やってんですか…。」「まぬけ~!」
「…。」
こいつらは人の気も知らず…まあ、いい。
俺たちはテンガン山を降りた。
「これからどうすんの?」
「シンオウのポケモンは大体仲間にしましたよね。」
「こんどはにんげん~?」
「…いや、今は人間など放っておけ。今度は世界中のポケモンを手下にする!」
「あ、そ!私はピカチュウの行くところならどこでもついていくわ。」
「どうしちゃったんですか?まあ、いいですけど。」
「かっくい~!」

何だかんだ言ってこいつらはついてきてくれる。
最高の仲間に出会えた俺の人生は…悪くない。

END

「まずは我が故郷カントー!」
とぅーびぃーこんてぃにゅー?

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