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第8章

「走れるか?」
配置につく途中、そうミミロップに問う。
「ええ、もう平気。」
ミミロップの足を見ると傷薬と包帯代わりの葉っぱで応急処置が施されているようだ。
ロゼリアによるものだろう。

「そうか。……ならばいい。」
無理はするな、とか言ってやれば良かったんだろうが…言えなかった。
「うん、頑張りましょ!」

…もし生きて帰れたなら…もうほんの少しだけ、こいつに優しく接してやろうか…?

……ふんっ。


俺はサマヨール飛び乗り、あたりを見回した。
ミミロップ達もゴーストに掴まっている。時は来た!
「行くぞ!なんとしてもこいつを止めるんだ!」
みなが一斉に飛び出した。

「フッ、図に乗るな」
ふたたび紫の石版が光り竜巻が襲い掛かる。
「二度も同じわざは食らわないよ!行くよお前たち!」
ニューラたちのこごえるかぜが竜巻を相殺する。
「今だよ!」
「ぬりゃー!!」
チャーレムがユキノオーの巨体を思い切り紫の石版に向けて投げつけた。まさか・・
「やめろ!その体じゃたえられない!」
「ウッドハンマー!!」
体のきしむ音とともにユキノオーの腕が振り下ろされた。
石版とともに限界を超えたユキノオーの体が崩れ去っていく。
「後は任せたぞ・・」
ユキノオーの体は崩れ去った。
お前の死を無駄にするわけにはいかない。残る石版はあとひとつ!


「おのれぇぇっ!」
咆哮とともに黄の石版が前よりも強く光る。石版がアルセウスの真上で止まり、さらに光りが強くなる。
いやな予感がする。今までとは様子がちがう!
「気をつけろ!なにかくる!」
突然、巨大な電気の塊がエレキブル達に向けて放たれた。さっきの雷とはケタ違いだ。
「ぐっ!」
まずい、エレキブルでもあれだけの電気を吸収できるとは思えない。
「うおぉぉぉ!」
徐々にエレキブルが押されていく・・  ダメだ!助けに行っても間に合わない!
「ドクロッグ、ユンゲラー、俺から離れろ!」
「エレキブル!!」
「ピカチュウ!負けるんじゃねえぞ!」
エレキブルは電気の塊に押しつぶされ、そこら一面が雷の嵐になった。これではドクロッグ、ユンゲラーも・・・

「フハハハハ、これでお前たちも終わりだ」
黄の石版がまた光りだした。いまのがきたら確実にやられる!やはり神には勝てないのか?
「なかなか楽しい戦いだったよ。だがもう終わりだ・・消えろ!跡形もな・・・」
「まだ終わらせないよ!」
不意に、ドクロッグとユンゲラーがアルセウスの背後から飛び出し、ドクロッグのこぶしが黄の石板を貫いた!
「なっ・・生きていたのか!」
「そう簡単にくたばってたまるか!まだドーミラーの仇もとってないのによ!」
「私のエスパーをなめてもらってはこまるよ」
「・・テレポートか、小ざかしいまねを!」

これで石板はすべて破壊した!今ならやつを倒せる!
「ミミロップ、ムウマージ、ロゼリア、ザングース、みなが作ってくれた最大チャンス、残っているすべての力をぶつけるぞ!」


「なぜだ!なぜここまでわれに抗う!」
「まだこんなところで消えるわけにはいかないんだよ!」
ドクロッグがさらに一撃を与えようと振りかぶる。
「石板を壊したくらいでわれにかなうと思っているのか!クズ共が!!」
アルセウスの体から紫色の衝撃波がほとばしり、ドグロックとユンゲラーを吹き飛ばす!
「ぐっ、まだこれほどの力が・・」
石板を破壊してわざの威力は落ちていたが、それでもアルセウスの強さは常識を逸している。
このまま突っ込んで勝てるのか?・・・いや、勝つしかない!
「いくぞ!!」
合図とともにピカチュウたちがアルセウスに向かって突っ込む。
「残念だが、もう我には近づけん!」
アルセウスが天を仰ぐ、そこには数え切れないほどの結晶のようなものが浮かんでいた。
「なっ・・・」
ロゼリアが思わず立ち止まる。まさかこんな切り札を持っているとは・・
「神のさばきを受けよ!!」
一斉に結晶がピカチュウたちに降り注ぐ!逃げ道は・・・ない!
「ここはまかせて!」
そう叫んだのはエムリットだった。エムリットたちが三重に光の壁を張って何とか持ちこたえている!
「いまのうちだよ!さっさとあんなやつやっつけちゃって!」
「お前たち・・もうしばらく耐えてくれ!」
もう時間がない、一気に勝負を決める!アルセウスはもう目の前だ!


数で勝ってはいるが、力ではやつの方が上だろう・・・ならば
「まずはやつの動きを止めるぞ!」
「ならば僕が行きます」
ロゼリアがアルセウスの真上に跳躍する。体をひねり、一気にわたほうしを撒き散らす。
「こんなもの、おまえごと焼き払ってくれる!」
アルセウスの口から灼熱の炎が吹きだす。
「燃え尽きろ!」
炎がまっすぐロゼリアの方へ向かっていく・・・
「ギャハハ、足元がお留守だぜ!」「俺たちを忘れるんじゃねえっつーの!」
三つの影がアルセウスの足を直撃する。ニューラ達のだましうちだ!ギリギリのところで炎がロゼリアからそれる。
「どうだい?虫にやられる気分は?」
わたほうしがアルセウスにからみつく、動きがにぶった!
「やっとあんたを直接殴れる時がきたわね。仲間の仇取らせてもらうわよ!」
ミミロップが飛び出す!
「無駄だ!」
アルセウスの周りに巨大なリフレクターが張られる。
「おまえの攻撃は我に届かぬ」
「そうかしら?」
ザングースがかわらわりでリフレクターを叩き割る。
「ミミロップどの、今でござる!」
「覚悟しなさい!」
ミミロップのスカイアッパーがアルセウスのあごをとらえる。
「ぐぅ・・」
今までとは違う苦しそうなうめき声だ。
「ピカチュウ今よ!この戦いを終わらせて!」
やつを倒せる最大のチャンスだ。これ以上犠牲を増やすわけには行かない!
「これで・・・とどめだ!」
残っている力をすべてこの技に注ぎ込む。

ボルテッカー!!


凄まじい電気を帯びてアルセウスに向かって突進する。まだやつはダメージから回復できていないようだ。
俺は勝利を確信した。

「・・・っつ!?」
俺とやつの間に何かが立ち塞がった。・・・・ムウマージ!?
「愚か者め・・詰めが甘いわ!」
アルセウスの体がうっすらと光っている。サイコキネシスか!
ムウマージは立ち塞がったのではなくやつに盾にされたんだ!
「くっ・・・」
しまった、反応が遅れた。バランスを崩しムウマージにぶつかる。
「フハハハハ!消え去れ!」
アルセウスの口から破壊光線が放たれる。ダメだ避けきれない!
「ぐあぁぁ!」
破壊光線が俺を飲み込む。とっさにマントを翻し防御したが・・・致命傷だ。痛みを通り越して何も感じない・・・
「ピカチュウ!」
ミミロップが叫ぶ声が聞こえる。俺の体は吹っ飛ばされ、無残に転がる。
「さて、残りのゴミどもも始末しなくてはな・・」
降り注ぐ結晶の数がさらに増える。
「もう・・・だめ」
エムリットたちのひかりののかべが破られる。一気に結晶が襲い掛かる!
「グアアァ!」「キャアァァ!」
ゴースト達が次々とやられていく・・
薄れていく意識の中で俺の方に結晶が飛んでくるが見えた。・・ここまでか。
俺は目を閉じた。心地よい何かが俺を包む。これが死というものなのか・・・悪くないな。


だがそうではなかった。
また意識がはっきりしてきた。横に誰かが座っている・・・ミミロップだ。
「お願い、死なないで・・・」
ミミロップが必死に願っている。ミミロップの力が直接体に流れ込んでくる・・・
「お前・・いつの間にそんなちからを・・」
俺のからだはほぼ完全に回復した。ちからがみなぎっている。
「あぁ!ピカチュウよか・・・っ・・・た」
ミミロップが俺の方に倒れこむ。ちからを使い果たしたようだ。
「お願い・・この世界の・・・未来を・・・救って」
そういい終えると目を閉じていく・・・
「死ぬな!たとえ未来を救ってもお前がいなければ・・」
「フフ・・あなたと一緒にいられて幸せだったわ・・・本当に・・」
ミミロップのからだからふっと力が抜ける。
「・・・・・・・」


「ピカチュウさん、まだ終わりじゃありませんよ!」
ロゼリアが叫ぶ。ザングース、ムウマージとともに結晶から守ってくれたようだ。
「お前達・・すまない。」
「なにをおっしゃるピカチュウどの!ミミロップの命を無駄にしてはいけないでござる!」
ザングースが一括する。お前も相当つらいはずなのに・・

状況はかなり分が悪いままだ。近づこうにも結晶の攻撃が激しすぎる。このままでは・・
「まかせて~」
ムウマージが飛び出す。
「やめろ!お前だけでは無理だ!」
俺の声も聞かず一直線にアルセウスに向かって飛んでいく。なにか策でもあるのか?
「フッ、お前一人に何ができる」
アルセウスが炎をはく。ムウマージが炎に包まれる・・
「おまえ、ぜったいゆるさない~」
炎に包まれながらもアルセウスに向かっていく・・死ぬ気か!?
「お き み や げ ~」
「なっ・・・・」
ムウマージのからだから黒いオーラが吹き出しアルセウスを包む・・
結晶の勢いがガクッと落ちた。これならいける!
「あとはまかせたよ~・・」
ムウマージが力尽き、地に落ちた・・・
一気に俺が飛び出す。これが本当に最後のチャンスだ・・・


俺は走る!
もう一度、もう一度だ!奴にこの体に残る全ての電気を叩き込んでやる!

「おのれええ!!」
アルセウスが凄まじいエネルギーを溜め始める。
「この際、新世界を創る力など貴様を滅した後でゆっくりと受けた傷とともに癒せばいい!このまま我に残る全ての力で貴様を世界ごと滅してくれるわ!」
アルセウスが咆哮を上げる!
な…!?

その時、エムリット達がアルセウスの体にしがみ付く。
「…させない!」
「アルセウス様、ご無礼をお許しを…。」
「ご、ごめんなさい!」
「何のつもりだ貴様らあ!」
「ピカチュウ、後は任せたわ。」
「あなたに全てを託します。」
「格好良く決めてくれよな!」

アルセウスがハッ、と何かに気付いた顔をする。
「貴様ら、まさか!?」
「じゃあね~!」
「………。」
「あ~最期に美味しいもの食べたかったな~…。」
「お前ら何を!?」

エムリット達の体が光に包まれる!

チャーレムやザングースなどが俺のまわりでかばいだし、俺に言った。
「ピカチュウ・・・最後のとどめはまかせた・・・。」
「分かった・・・、今まで有難う。ロゼリア、チャーレム、ザングース、 サマヨール、ニューラ・・・そしてみんな・・・!」

だいばくはつ


っ!?
爆発の衝撃にマントを翻し耐える。
エムリット、ユクシー、アグノム…。

「おのれえぇぇぇぇ!!」
アルセウスが怒り狂う。
その体はひび割れてボロボロだ。

俺は走る!アルセウスの方へ!全てを終わらせる!

「ぐうう!ディアルガ!パルキア!何をやっている!」
――「ッ!この人間共…強い…!」「すみませんアルセウス様…人間共を止めるのに精一杯です…。ぐっ!」――
「約立たず共めぇ!」

決めてやる!全てを込めて!

「ちいッ!」
アルセウスはかわそうとするが、割れた石板の欠けらが動きだして巨大な腕を形づくりアルセウスを掴む!
「ニガサンゾ!アルゼウズウヴゥゥ!」
あれはレジギガス…!
「亡者があぁぁ!」
アルセウスはその腕に破壊光線を放つが…もう遅い!

「くらえぇーッ!」

 ボ ル テ ッ カ ー

「ぐぎゃああああああ……――」

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