第6章 - 6

「だがお前の心に触れて昔の思いが蘇ってきた。今度こそお前らとこの組織を離れようと思う。この組織はポケモンを物としか思ってない。例え逃げたポケモンがいたとしてもあいつらは決して追わないだろう。
それよりも仕事を進めるか新しい使えるポケモンを捕獲したほうが効率がいいからな」
それを聞いていた全員は急に顔が変わった。人間はやはり…なんて奴らだと。ピカチュウは怒りを通り越して呆れ気味である。
途端に手下も騒ぎだした。
「そんなことを平気でやってるわけですか…」
「ひどい~」
「俺もさすがにそれは許せんな」
「拙者だったらすぐにその人間に天誅を食らわすぞ」

「それならなおさらだ。俺はそいつらを許せない。お前も同じなんだよな?」
「ああ。もちろんだ。今まで受けた仕打ちはきっちり返す」
「よし!これで決まりだな。よろしくなエレキブル七武海。じゃ俺たちが暴れている間に仲間探し頼むぞ」
「わかった。努力する」
「うむ、じゃあまたあとでな。くれぐれも人間に見つからないようにな!」
「おう!」
エレキブルは研究所の中へと消えていった。

さてとまだ俺たちにはやることがあるな。
「皆準備はいいか!思い切り暴れてやろうじゃないか」
「了解です!」「あいよ親分!」「たのしそ~」「争いは好きではないが仕方ない」

「よし突っ込むぞ!」
俺たちはついに内部へ突入した!


ドンカラスは洋館のテレビを見ながらごろごろしている。
「今日の記録でゴン!イマイチだったな…。しかし相変わらず映りの悪いテレビだ。変な顔が映ることがありやがるし…。どれ、あっしが叩いて直…」
ドンカラスがテレビを叩こうとしているとビッパが部屋にうれしそうに入ってきた。
「ドン!また新しい友達を連れて来たお!」
「…またですかい。」
「こ、今度は大丈夫だお!遠くから来た友達だお。」
「はあ…。」

外に出るとそこには4匹の青い腕みたいなポケモンがいた。
「ダンバル君だお!」
「…で?」
「突進しかできないお。」
「帰…」
「ま、待ってお!このダンバル君達には時間がかかるけどすごい特技があるんだお!」
「…はあ。」
「ダンバル君!やるお!」
「 超 伝 導 合 体 !」
ダンバル達がぐるぐる回りはじめる。
「おお!?」

小一時間後…
「…あれから一時間くらいたったんだが…。もう帰…。」
「も、もうちょっとだお!」
「 パ ワ ー 充 填 完 了 !」
どこからかパーツのようなものが飛んでくる。
「 超 蟹 機 神 ! メ タ グ ロ ス !!」
「成功だお!」
「な、なんと!」
「さあ、ダンバル君。メタグロスの圧倒的なパワーを見せてやるお!」
「了解。」
メタグロスが大きな岩にパンチすると岩は粉々に砕け散った!
「す、すげえ!これは採用…」
しかし岩を砕いてすぐに、ダンバル達に戻ってしまった。
「あ、ありゃ…?」
「パワーを使いきってしまったみたいだお。正規の進化方法じゃないから一分しか動けないんだお。」
「一時間で一分…?」
「そうだお。」

「帰れ。」


赤帽子の少年とアカギの戦いがミミロップ達の目の前で繰り広げられていた。
ギンガ団の頭だけあり、アカギのポケモンは強かった。
しかしそれでも少年の方が押していた。既にアカギは残りの手持ちが1匹の状態だ。

「ドダイトス、かみくだくだ!」
ドダイトスの牙がアカギのニューラを捉えた。
効果はいまひとつなので余り効いていない。

「そのままウッドハンマー!!」
しかし、ここで更に追い討ちでウッドハンマーが決まる。
いくら素早くても牙で押さえられては避けようがない。
強烈な一撃が決まり、ニューラは倒れた。
しかし、ドダイトスもかなりのダメージだ。傷を治してやりたいが傷薬はもう使い切ってしまった。

「……なるほど。君の事がよくわかった。」
倒れたニューラをボールに戻したアカギは、エムリット達を捕らえている装置の奥にある機械を操作した。
すると、その装置から徐々にだが、次第にくっきりと赤い鎖が現れた。

「あとは勝手にするがいい。私は野望を達成するためにテンガン山へ向かう。」

アカギはそれを手にすると部屋から出て行ってしまった。


「これでエムリット、アグノム、ユクシーの三匹を助けられる…。」
ミミロップ達は自分達の出番が無い事を悟り、部屋から出て行こうとしたが、赤帽子の少年が機械のスイッチに手を掛けた時に冷たい声が響いた。

「そのスイッチを押せば三匹は解放できる。」

気配すらしなかったが、先程からいたのだろうか。
男が装置の影から現れた。
「リッシ湖での借りを返させてもらおうか。」
そう言われた少年の顔に焦りの表情が浮かんだ。
それもそのはず、少年の手持ちは満身創痍のドダイトスだけなのだから。

「行け、ドクロッグ。」
「……くっ……!頑張ってくれ、ドダイトス…!」


「ね、ねえ、あの子やばくない?」
「まず勝てないだろうねぇ……どうする?三匹を助けるにはあっちの人間を倒さなきゃ行けそうも無いね。」

ミミロップはどうするかを考えていたが、すぐに決心した。
答えは決まりきっていた。

「あの子を助けよう。私が戦うから、もし隙があったらニャルマーとムクホークはアグノム達を助けて。」
「あいよ。」「わ、わかった。」

「どくづきだ。」
ギンガ団の男・サターンの命令通りに、ドクロッグは手でドダイトスを突く。
間一髪の状態でかわしているが、素早さでは負けているためいつ命中するかわからない。
命中すれば、恐らく残りの体力が少ないドダイトスは限界だろう…。

その時、影からミミロップが飛び出してきた。
炎を纏った拳をドクロッグに叩き付け、ノックバックさせる。
突然の乱入者に、赤帽子の少年は驚きを隠せなかった。
しかし、サターンは冷静に状況を分析している。

「…トレーナーの手持ち……ではなさそうだな。野生のポケモンがあの三匹を助けようとしているのか…。」

ミミロップはドダイトスの傍まで下がる。
「手伝うよ。一人じゃ無理でしょ?」
ドダイトスと、言葉は通じないだろうが……赤帽子の少年に向けてそう言った。


時は少し遡りリッシ湖を目指し歩いている道中の話。
ミミロップがピカチュウに話し掛けていた。
「所でさ、ピカチュウ。今更なんだけど…。」
「何だ?」
「あんた人間の所にいたって前に聞いたけど、なんて呼ばれてたの?」
「気になりますね。」「どんなの~?」「初耳でござる。」

「………ぎれ。」

「え?」
「ぎれ。」

「それって変…。」「変ですね。」「へんなかんじ~?」「変でござる。」

「……………。」

ぎれについて:その他・現実世界におけるピカチュウ
「ぎれ」でページ内検索をしてみてください。


俺達は建物の中に入り、エレキブルと別れると、何故か壊れているでかい扉の奥にある階段を上った。

「おい、そっちで余ってる手持ちを貸してくれ!侵入者にやられちまった…。」
「こっちも駄目だ、あのガキにやられちまった後さ。」
どうやらあの人間は順調に進んでいるらしい。
侵入者に気を取られているらしく、ギンガ団とか言う人間は俺達が堂々と通っても全く気にも留めていない。

……まあ、たまに「こうなったら新たな手持ちをゲットして…!!」とか叫んで襲ってくる命知らずもいたが、電撃で真っ黒焦げにしてやった。

そして、俺達はエムリット達が捕らわれている部屋へと近付きつつあった。
ここまでの道の途中にミミロップはいなかった。
やられていなければいいが……。

「うわぁっ!!」
暗い通路を抜けて部屋に入るなり、急に誰かが吹っ飛んできやがった。
流石に受け止められない勢いだったので、避けて誰が飛んできたか見てみたら、知った顔だった。
「ドダイトス……お前、あの時のナエトルか!」
「いたたたた……君は湖で会った…えっと、ペカチュウだっけ?」
「……その名前久々に聞いたな。俺はピカチュウだ。」

「大丈夫かドダイトス!」


赤帽子の人間が倒れたドダイトスに駆け寄る。
どうやら誰かと戦っているらしい。
部屋を見渡すとミミロップが戦っていた。相手は恐らく人間のポケモンだろう。
その後ろには、雑魚の人間とは明らかに雰囲気が違う人間が一人。

「かみなりパンチ!!」
ミミロップはバチバチと火花を散らし、電気を纏ったパンチを人間のポケモンに叩き込む。
今のは避けようがない、クリーンヒットだ。
だが、人間のポケモンは攻撃がヒットした瞬間ミミロップの腕を掴んだ。

「ドクロッグ、リベンジだ。」
人間のポケモン―ドクロッグというらしい―は、攻撃された怒りを力に変え、強化された拳をミミロップの胴に叩き込みやがった。
拳がめり込む鈍い音がして、ミミロップが吹っ飛んでくる。

サイズ的に受け止められるはずがない。
だが俺はミミロップを受け止めようと咄嗟に動いた。

当然、無理だ。
そのまま俺も巻き込んで壁に叩き付けられた。

「ピカチュウさん、ミミロップさん!」
「大丈夫でござるか!?」

手下達の声が聞こえる。
背中を強く打って苦しかったが、そんなに強いダメージではない。

「ミ、ミミロップさんが…!」
「馬鹿、静かにおし!アタシらはミミロップに役目を頼まれてるだろ!?」


少年とサターンがバトルに気を取られている隙に、ニャルマーとムクホークはカプセルに近付いていた。
「う~ん…硬いなあ…こりゃ俺のクチバシじゃ無理だよ…」
カプセルを突いてみて、ムクホークは溜め息を吐いた。
「四の五の言わずに突っ込みなさいよ!」
「む…無茶言うなよぉ…!」
その時…

『私達は…大丈夫です…心配しないで…』

「え?え?…何か言った?」
「…い…いいや……まさか…?」
声は…カプセルの中から聞こえてくるようだった。

『何か…大きな意志が動いてる…でも…それに対抗する力も感じるんだ…。一つはあの人間から…そして…もう一つは…』

「ピ…ピカチュウ?!どうして…」
「お前こそ…勝手に無茶しやがって…!」

『誰かを信じ思いやる気持ちが…きっと全てを救ってくれる…アタイはそう信じてるの…』


「そ…それより…今更…何しに来たのよ?!」
俺に気付いたミミロップは、一瞬、嬉しそうな顔をした…ように見えたが、すぐにプイッと横を向き毒づいた。
「う、うるさい!早くそのデカい尻をどけろ!重いだろ!」
「まあ!失礼ね!!!」
…とんだ感動の再会だ。想像と随分違う……

「(本当に二人とも…)」
「(何だかなあ)」
「(うれしいくせに~)」
「(ミミロップ殿のお尻…羨ましい)」

「大体あんたが来なくたって、あんな奴私が………うっ!」
ミミロップは強がりつつも立ち上がったが、すぐに腹を押えてうずくまってしまった。
今の攻撃で相当のダメージを負ったらしい。
「お前は引っ込んで休養してろ!」
「で…でも…」
「いいから寝てろ!おい!お前ら、さっきみたいに、こっそりあの人間を……」

「大丈夫か?!ウサギさん………あれ?」
しまった!
俺達は、ミミロップを心配して寄ってきた赤帽子に見つかってしまった。

- 23 -
スポンサーリンク
スポンサーリンク