第4章 - 2

ハッ!

俺は確かレジギガスに捕まって…?
だが奴は俺の目の前でボロボロの姿になっていた。

「え?あれ?ピカチュウが捕まってて、でももう離れてて、それをやめさせようと攻撃しても全然効かなくて、でもレジギガスはボロボロで????」
「わけわかんないよ~?」「え?え?え?」
手下たちが混乱している。無理もない俺もわけがわからないのだから。

「ダイバクハツマデ アド5ビョウダ…ジネッ!シネェガガッ!アルセピーーーーーーーーーーッ!」

「なっ!?」
「え?え?え?えぇーーーーっ!?」
「な、何でっ!?」
「うそ~ん!?」


「奴は自滅する気だ!固まって伏せろ!」
俺は手下達をなるべく壁際へ押しやった。
「どっか~んいや~!」
「うわっ…!」
「あっ!スボミーが!」
ツルツルした床でスボミーが転び、奴の方へ滑っていく。
「ああっ…!ピカチュウさーん!」
「…ちっ!」

3……2……1……

間に合わない!
俺はとっさに……スボミーに覆い被さった。



ズゴゴゴゴゴゴオーーーーーーーン!!!!

「きゃあーーー!」
「ぼわわわ~ん!」

「ひゃああ…!」
「ぴがあーーーーーー!」

……体が砕けるほどの衝撃が走り、部屋が上下に揺れ……やがて……


――「ドドギュウウーン!」
朦朧とする意識の中で夢に出てきた“あの"ポケモンを見た。
「間に合ったか。ご苦労だった。お陰で愚鈍な巨人に奪われた我が力の一部を取り返せる…。
貴様にはまだやってもらうべきことがある。生きて手下共々地上にかえしてやろう。
それと、石板は返してもらうぞ…。代わりにこの笛をやろう…時が乱れ空間が歪むとき…テン……この笛を使い我が…へ…その時…すべて…話…我…人間を…ぼし…――


――気が付くと俺は洞窟の中にいた。
「おう!目覚めたか!」
マニューラ…?
「雪原のど真ん中でお前等全員が倒れているのを部下が見つけてよう!
アジトに運んできたんだぜ。あんな所で居眠りたあな。そんなにお眠むだったか?ヒャハハ!」


「そうだ!手下共は!?」
「安心しな。全員無事だ!前見たときより背が伸びてんのが二匹いて驚いたがな。」
手下共が部屋に入ってくる。
「ピカチュウ!」
「何だかよくわからないですが、僕達助かったみたいですね。」
「ふしぎだよね~。」

そうか…安心した。


「わざわざ運んでくれてすまなかったな。」
「重かったっつーの!」「背が伸びてんのが二匹もいたしね。」「成長期か?ギャハハハハ!」
「お前ら、ぶつくさ言うんじゃねーよ!それじゃあな。今度からはちゃんと布団かけて寝るんだぜ?ヒャハハハハ!」
「「「ギャハハハハ!」」」
ニューラ達に見送られハクタイの森へと向かう。
? 途中、道具袋を覗くと、あの石板が無くなっている。かわりに古ぼけた笛が入っていた。
これは…?あれは何だったんだ…?


「だけど危なかったわよね。どうやって脱出したのかしら」
「ふしぎ~」
どうやら、手下共は“あの”ポケモンの姿を見ていないらしい。

「……ごめんなさい、ピカチュウさん…あの時…僕なんか庇ってくれて…」
思い出したようにスボミーが恐縮する。
「まあいい。今度から気を付けろ」
「僕……僕、もっと頑張ります!だから…だから…!」
…また泣かれて暴走すると困る。
「ああ。お前もまあ…時々は頼りになるからな。期待している」
「は、はいっ…!」
そう慰めると、スボミーは嬉しそうだった。

山の方の空が、大分明るくなってきている。
もうすぐ朝だ。


テンガン山の洞窟の近くまでたどり着いた。
すると洞窟の前にイタチのような目付きの悪いポケモンが立っている。
いつものように話し掛けようと近づくと、向こうから話し掛けてきた。
「ピカチュウ殿でござるな?」
どうやらこちらを知っているらしい。「そうだ。」、と俺は答えた。
「拙者はザングース。長い間、従うべき主君を求め旅をしていた。そして風の噂で最近ポケモンを集め、己が野望を果たそうとしているポケモンがいると聞き、どのような御方か確かめに来た。」
「……。」
「失礼だが実際に見てみると、ピカチュウ殿はどうもそのようなすごい御方には見えない。そこで拙者は力を試したい。誰でもいい、この中で拙者に勝てるものがいたなら拙者はピカチュウ殿を主君と認め、野望に協力させてもらうでござる。」

さて、どうするか。
「あ、あの!僕がやります!」


「お前が?」
「スボミーだいじょうぶ~?」
「でも…あいつ強そうよ」
「いいんです。だって、いつも…ピカチュウさんたちには助けられてばかりだから…せめて…こんな時ぐらい、恩返しがしたいんです!」

俺同様、皆も心配しているようだが、スボミーの決意は固いようだ。
しかし、手下を信じて送り出してやるのも、支配者としての俺の勤めである。
「分かった。思いっ切りやってこい」
「はい!」
スボミーはザングースの前へ進み出た。

「其方か…失礼だが拙者、相手が誰であろうと手加減などせぬ。それでもよろしいか?」
「け…結構です!」
「ならば……いざ参る!」

ザングースは飛び上がり、あっという間にスボミーへと肉迫した。

山には、朝日が昇り始めていた。


「電光石火!」
「うわっ!じ、神通力!」
鋭い爪を間一髪でかわし、スボミーはザングースに震動を飛ばした。
「ぐっ!…見掛けに寄らず、味なマネを!」
一瞬よろけたが、ザングースはすぐに体制を建て直した。
その体毛がざわざわと逆立つ。
「ほう…其方、毒を持っておるようだな。しかし、拙者には効かぬ!」
ザングースの体が、踊るように奇妙に動いた。

「いかん!剣の舞だ!」
「次はくるわよ!避けて!」

「ブレイククロー!!」
「ひゃああ!」
威力を増した爪が、スボミーの葉を切り裂く。
「それ!追い打ちにござる!」
「ひいい!」
スボミーは反動で後ろへ転げた。

「スボミーしんじゃう~!」
「ああ!やっぱり実力が…!」

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