第3章 - 3

「あんたら三人はこっちでおとなしく見てろっつーの!」「マニューラの邪魔はさせないわ。」「ネズミちゃんが殺られる姿を見てろ、ギャハ!」
手下達はニューラ達にに上の方に連れていかれたようだ。
「結局、こうなるのね。」
「やっぱり平和的な解決なんて無理だったんです…。」
「わかってたけどね~。」


「何ボサッと見てんだよ!相手はこっちだぜええ!」
マニューラの言葉に反応し、俺はとっさに高速移動で後ろに下がった。
だが、予想に反し奴はすぐに襲い掛かって来ず、
「さぁ~て、まずはどう料理してやろーか。ん~?」
などとニヤニヤしている。
一体、何をグズグズ…

しまった!悪だくみだ!

そう分かった時には既に遅く、奴の特攻はぐーんと跳ね上がっていた。
「いくぜぇ!凍える風だあ!」
「ぴがあ!」

びゅおおおおおおお!

マントのおかげでどうにか風は防いだが…とんでもなく素早い奴だ。
「ヒャーッハハハハ!悪の波動ぉ!!」
「ぴぎい!」
次々と矢継ぎ早に攻撃を繰り出してくる。

「オラオラオラオラぁー!どうしたネズミぃ!」
「…何の!勝負はこれからだぜ!!!」
そうは強がったものの、どうも防戦一方で分が悪い。


マニューラがまた動きを止める。また悪巧みをするつもりか。
「させるか!」
奴に飛び掛かる!
「かかったな、ヒャハハ!」
「がっ!?」
氷塊が顔面ににぶつかる。
「ヒャッハー!マニューラ選手が投げた氷のつぶてはネズミちゃんの顔面に直撃でえす!」
「「「ストラ~イク!バッターアウト!ギャハハハ!」」」

「も、もう見てらんないわ!」
ミミロルがピカチュウのもとに行こうとする。
「だ~か~ら、邪魔すんなっつーの!」「おとなしく見てなさい。」「踊り子にお触りは禁止よぉん!ギャハハハ!」
だがあの3匹のニューラに止められる。

今は耐えろ、反撃の機会を待つのだ。
朦朧とする頭にそんな声が響いた気がした。
「ヒャハハ、ここまでだなネズミちゃん!じゃ、トドメといくか!」
「「「イエーーーッ!!」」」
マニューラの拳が冷気を纏う!
「冷凍パンチだ!」
終わり…なのか…?
!そういえばドンカラスに持たされたあの実…!
ヤチェの実をかじり歯を食い縛る!
ドゴオッ!
「クリーンヒットだあ!このオレの冷凍パンチを食らってたっていた奴はいねえ!オレの勝ちだ、ヒャハハハハハ!」
「そ、そんな…。ピ、ピカチュウーーッ!」
「そ、それは…どうかな?」
「なっ!」
チャンスだ…!奴が驚いている隙に懐に潜り込む!
「お前は調子に乗りすぎた!」
 起 死 回 生 !!


「ぐがッ、おっ…!」
マニューラは吹き飛び壁に叩きつけられる!ビタンッ!
「ヒャ、ヒャ~ン…」
マニューラは倒れた!

「はあ…はあ…。」
勝ったのか…?
「うっそだろっつーの…。」「まさかあのマニューラが…。」「負けちまった!ギャハ…。」
「「「………。」」」
ニューラ達は呆然としている。
「ピカチュウー!」「ピカチュウさんっ!」「ピカチュウ~!」
「やったのか…?」
「うん!まさかの逆転勝利!」
「そう…か。」
ピカチュウも倒れてしまった!
「ちょ、ピカチュウ!?」
「は、早くピカチュウさんの手当てを…!」
「これ、もってきた!かいふくのくすり!げんきのかたまり!」
「急いで使って!」


――白い馬のようなポケモンが俺に話し掛けてくる。
「………!」
何だ?何と言った…?
何か言葉を残すとそのポケモンの姿が徐々に消えてゆく。
待て!お前は何だ!?
「ドドギュウウーーン!」――

「ハッ!」
「!?ピカチュウっ!目が覚めたのね!」
「おかしな夢を見た…。」
「?それよりピカチュウ、あんたずっと目を覚まさなかったのよ!」
「いくらピカチュウさんでもさすがにもうダメかと思いました…。」
「よかった~!」
「ここは…?」
「ニューラ達のアジトの一室よ。」

「ヒャハハ!お目覚めのようだな!ピカチュウ様よう!」


マニューラが陽気な笑顔で部屋に入って来た。
奴も元気のカタマリで回復したらしい。
「いやー参った参った!まさかオレの必殺技が破れるなんてよお!ドンカラスが言うだけの事はあるぜ。あんた最高だよ!ヒャハハハ!」
戦う前とは打って変わってフレンドリーな態度だ。

「ふ、ふん…分かればいいのさ。それより…」
「ああ、オレ達ぁワルだが約束は守るぜ。あんたの野望とやらに一役買わせてもらおう」
「よし。ならば、この辺一帯はお前に任せよう」
「OK!野郎共!今後はピカチュウ様に従うよう、そこらのボンクラに触れ回って来い!」
「「「アイアイサー!」」」
外にいたニューラ達が一斉に気鋭を上げる。なかなかいい光景だ。

「あ…あのピカチュウさん…」
「ちょっと、何か忘れてない?」
「何を?」
「へいわてきかいけつは~?」

そうだった。


「待て!その前に、二度とユキノオー達に悪さをしないと誓ってもらおう。」
俺は慌ててマニューラ達を止めた。
「ああん?あんなピザでも食ってろって感じの連中、どうだっていいじゃねえか、ヒャハ!」
「いいから誓え!さもないと…」
「わーった!わーったよ!また叩き付けられちゃあ、たまったモンじゃねえしな。」

俺は両者の平和的な解決を試みるべく、ニューラ達にユキノオーを呼びに行かせた。
「おお!まさか、あのマニューラを説得してしまうとはのう!」
ほどなくして、地響きと共にユキノオーとユキカブリ達がやってきた。
そして、小一時間ほどの話し合いの結果…
ユキノオー一族とマニューラ党との間に、永続的不可侵条約が締結された。

「ピカチュウって、ただ強いだけじゃないのね~。」
「シンオウを支配するには、力だけでは駄目だからな。」
「ふ~ん、そういうのって、私……あっ!な、何でもない!何でもないったら!」

時々、何故かミミロルの体が光っているように見えるが…
まあ、気のせいだろう。


ふう、これにて一見落着だな。
長い寄り道だった。
「ありがとう、ピカチュウ殿…。貴方様のおかげでニューラ達と無事、和解できました。」
「うむ。では約束どおり…。」
「ええ。我が一族、喜んでピカチュウ殿に力を貸しましょう。」
「そうか。」
「わしらは何をすればいいでしょう?」
「お前等の体質上、ハクタイの館まで来るのは難儀だろう。ここでニューラ達とこの地を治めてくれ。」
こそりと他の者に聞こえないよう、話す。
「{…それにまだお互いに監視も必要だろう?}」
「{そうですな。}わかりました。ニューラ達と力を合わせ、この地を治めていきましょう。それと何かありましたら、いつでも呼んでくだされ。ピカチュウ殿のためならば、多少無理をしてでも救援に参ります。」
「助かる。」
ユキノオー一族が手下になった!


さて、これで本来の目的であるエイチ湖を目指せる。
俺は今回の目的を新たに加わった手下達に話した。
「そーいうことならオレ達に任せときな!」
マニューラが声を上げる。
「オレ達ゃ、吹雪のなかでも目がよく利くんだぜぇ!エイチ湖までニューラ共に案内させてやらあ!そっちのウスノロ共に案内させてたら凍死しちまうだろうしな!ヒャハハハハ!」
「「「ギャハハハハ!」」」
ユキノオーがムッとした表情をすり。
「…マニューラ殿、それはちと言いすぎではないか?」
ちっ、こいつらは…。
「止めろ。条約を結んだばかりだろう。」
「おーおー、そうでしたねー。すいませんねー木偶の坊共!ヒャハハ!」
「「「ゲラゲラゲラ!」」」
「うぬぬう…!」

俺はマニューラ達を睨む。
「げ…冗談だっての!怖い顔すんなって!おい、そこのニューラ三人!こわいこわ~いピカチュウさま~を、ちゃ~んとエイチ湖まで案内して差し上げろ!」

「げえっ、またオレ達かっつーの?」「猫がネズミの案内なんて、屈辱の極みだわ。」「言えてら!ギャハハハハ!」


ぶつくさ言いながら3匹は俺達を先導した。
しかし、吹雪もさる事ながら、すごい積雪だ。
湖に近付くに連れ、腰まで埋まって身動きがとれなくなる。
「何これ~!もー!歩きづら~い!」
「こ…凍り付きそうです…」
「ムウマへいき~」
「そりゃ、お前は浮いてるからな…。おい、ニューラ達、このままでは埒があかん。俺達をおぶっていけ」
「なっ何だっつーの!」「そこまでしなきゃいけないワケ?!」「下っ端は辛いぜ!ギャハハ!」

更にブチブチいいながらも、3匹は俺達を背負って雪道を進んだ。
「お…重いっつーの!」
「何よ!レディに向って失礼ね!」
「何がレディよ!こっちの身にもなってよ!」
「す、すみません…」
「後出しジャンケンで負けたオレ様…ギャハハ!」
「いいから早く歩け」
「ぼわ~ん…」

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