第30章 - 3

ピカチュウ達が屋敷にいる頃グレンの船乗り場では一人の今時風の青い髪の女が船から降りた。
旅行用の大きなボストンバッグを一つ持ち、傍らには彼女のポケモン、プラスルがいる。
「プラスルここが、グレン島よ。ほら、向こうに大きな火山があるでしょ」
女は火山を指差した。
「こういう所には良い温泉があるのよ。そして温泉に入って日頃の疲れを取るのよ。」
「プラップラッ」
プラスルは首を縦に振り相槌した。
「はぁ、ようやく休みがとれた。最近仕事ばっかりで疲れまくりよ。その上給料は安いし、出来の悪い部下の面倒ばかり、しかもその部下は口ばっかりで…」
女は口を閉じた。
「ぐちばっかりこぼしても、何も面白くないわ!プラスル行くわよ、まずは昼食の時間からずれてるけど遅目の昼ご飯を食べに行くわよ!」
女は言った。
「プラー♪」
プラスルは喜んだ。
彼女達は、昼ご飯を食べるために船場から温泉街へと向かった。


そして女とプラスルは温泉街にやってきた。
温泉街は商店や飲食店が並び、人々の活気で溢れていた。
「プラスル何食べようか?ポケモンと一緒に食べれる店はどこかな?」
女は、ポケットから細かく畳んだ、観光マップを取り出した。
「う~んと、そうね、この距離だとここがいいかな。」
彼女は1人地図を見ながら、ぶつぶつ独り言を言っている。

「コラァー、ボケェェェー、店の商品食ってんじゃねぇ!!」
突然の男の叫び声で女とプラスルは驚いた。周りにいた観光客も驚いている。
女は声のした方を見てみる。10メートルぐらい離れた、商店の店先からだ。
そこには店先に出してあるお土産の食べ物を、なんとなく目に異様な狂気を感じる白いコラッタが男の店主の叫びも無視して、一心不乱に食べている。よほど腹が減っているのだろうか。
その時店主が物凄い勢いで店の奥からやってきて、ほうきでコラッタを吹っ飛ばした。
店主は顔が般若のような形相で怒りに満ちていた。
体格は恰幅がよく、般若の形相とあいまってまるで鬼のようだった。


「はっ、色違いコラッタめ!いくら色違いが珍しいからって許すわけにはいかねぇな!」
店主は怒りながら叫んだ。
「この泥棒鼠め、とっとどっか行きやがれ、しっしっ!」
店主が ほうきで追い払っている。
しかし、コラッラは 口から白い前歯をむき出して威嚇している。
「グゥゥウー。」
白いコラッタから何か異様な感じがする。
ただ腹が減っているだけだろうなのか?

「ほぅ、泥棒鼠のクセに態度がでけなぁ、ならキツイお仕置きをしてやる。」
店主はそう言うとポケットからモンスターボールを取り出し、投げた。
その中からゴローンが現れた!
「いけゴローン!泥棒鼠を退治しろ!」
店主は勢い良く命令した。
「ゴローン!」
ゴローンはコラッタめがげて体当たりした。
しかしコラッタは素早くかわした。
「さすがは、泥棒鼠だ、動くのが速い!だがなっ!ゴローン地震だっ!」
ゴローンは地震を繰り出した。地面が揺れコラッタは身動き出来ない。
「今だゴローン!のしかかり!」
ゴローンはコラッタの上に勢い良くのしかかった!
コラッタは悲鳴を上げた。
ゴローンはコラッタから降りると。
コラッタはコンクリートの地面に半分埋まりながら、戦闘不能になっていた。


「へっ、泥棒する奴はこうなるんだぜ。」
店主は戦闘不能になったコラッタに言い放った。

女とプラスルは周りの観光客と一緒にこの光景を見ていた。
「これって、あれだろ、最近ポケモン達が店先に置いてある、商品を荒らすって奴だろ。」
「あぁ、そうだな、テレビのワイドショーで見たことあるぜ」
周りの誰かが言った。
「白いコラッタなんて珍しい俺ゲットしちゃおうかなw」
「あなた、駄目よ人様が倒したポケモンを横取りしちゃヒキョーよ、あだ名がフジキ君になるわよw」
周りの観光客や野次馬が口々に喋る。
「プラスル行こうか、私たちの出る幕では無さそうだしね。さぁ、お昼を食べに行きましょ。」
女はプラスルにそう言い、立ち去ろうとしたとき。
「おい、見ろよコラッタが光だした!」
女はその声を聞き コラッタの方を向くと。コラッタは光ながら体力を回復していく。
「自己再生!!」
(野生のコラッタが自己再生なんてするの!?)
女は思った。

「なんなんだお前は!」
店主は驚きながら叫んだ。
「ゴローン徹底的にやるんだ!」
ゴローンは再び白いコラッタに攻撃を開始した。


ゴローンは数々の攻撃を繰り出し戦闘不能に追い込むがコラッタは自己再生ですぐ蘇る。
「なんなんだよ、お前は!」

店主は冷や汗をかきながら恐怖に満ちてきた。
ゴローンもばててきた。
ここから、白いコラッタの猛攻撃が始まった。
コラッタはゴローンに体当たりをしようと走りだした。
「ゴローンにはそんな攻撃きかないぜっ…」
店主は弱々しくそう言いきったが…。
体当たりを食らったゴローンは吹っ飛んだ。
「ばかな…」
店主の顔からは先ほどの怒りがどこかへさっていき 顔は青ざめていく。
コラッタは倒れたゴローンにのしかかりゴローンに噛みついていく、そしてゴローンの身体の岩を コラッタの前歯が噛み砕いたり、ひきちぎる。
ゴローンは痛みに耐えれず悲鳴を叫ぶ。
周りの野次馬も目をそらすもの悲鳴をあげる等の反応を示す。
「このままでは…ゴローンが…。」
店主は泣きそうになった。
「ゴローン!大爆発だ!最後の賭けだ、それで決めるぞ」
ゴローンは最後の力を振り絞り大爆発した。辺りは爆風に巻き込まれた。
(やったか!この直撃ならコラッタは!)
爆風が晴れてきた。そして、そこには戦闘不能になったコラッタが自己再生して生きていた!
「に…逃げろー!」
野次馬の誰かが叫んだ。


「まずいわね、プラスル用意して。」
プラスルはホッペに電気をためる。
そして女は鞄から赤い何か道具を取り出した。
「ハァハァハァ」
白いコラッタは店主の方をみながら、前歯を剥き出しにしヨダレを垂れ流している。
まるでこれは、野生の飢えた動物が数日、何週間ぶりに獲物に出会えたような顔をしている。
店主の体は、丸々とゴムまりのように肥え太って、脂肪をたくさん蓄えている。
コラッタの目は、血走りながら、店主をじっと睨み付ける。
「まてよ、俺なんか旨く無いぞ!」
店主は、悲鳴に近い声で叫ぶ。
コラッタは奇声を上げながら店主にむかって飛び付こうと飛んだ!店主は目を閉じた。

その時、10万ボルトがコラッタに当たった。
コラッタは地に落とされた。
「プラスル、良いわよ!」
女が叫んだ。
「せっかくの休日なのに、これじゃ台無しよ、でもこのまま、この白いコラッタを野放しにするわけにはいかない!」
女の右手に持っている道具のアンテナが伸びる!

「ポケモンレンジャー、ミッションを開始する!」
女は、叫んだ!!


「ミッション開始!」
レンジャーは赤い機械、キャプチャ・スライターから コマのようなものキャプチャ―ディスクを取り出し、それを投げた。
そしてレンジャーはキャプチャ・スライターを円を描くように動かした。
そうするとキャプチャ―ディスクが白いコラッタの回りを白い光のラインを描きながら回りだした。
白いコラッタは驚き、光のラインから出ようとするが、ディスクもコラッタの周りを回りながら動く。
コラッタは困ったように立ち止まった。
「よし、いいわよ。そのまま、そのまま。」
レンジャーはキャプチャ・スライターを回しながらそう言った。
しかし、コラッタはキャプチャ―ディスクにでんこうせっかをした。
ディスクがはじかれ、コラッタの回りを描いていた光のラインが消えた。
「油断したか、もう少しだったのに!」
レンジャーの顔に悔しさが漂う。
コラッタがレンジャー目掛けてでんこうせっかを仕掛ける。
しかし、女は間一髪で避けてみせた。
「プラスル!白いコラッタに電磁波!」
プラスルは白いコラッタに電磁波を放つ。
電磁波は白いコラッタに直撃し、コラッタは麻痺した。
レンジャーはこの瞬間を逃さないと思い、キャプチャ・スライターを回しだした。
白いコラッタの回りをディスクが何重に回りだした。
次の瞬間コラッタは光に包まれた。


「キャプチャー成功!」
レンジャーは叫んだ。
白いコラッタから光がはれるとコラッタは大人しくなった。
後ろで尻餅ついて倒れている店主は言った。
「これがポケモンレンジャーの力か…。」
「そうこれがキャプチャ・スライターの力。凶暴なポケモンも大人しくさせる力があるのよ。よし、これでミッション完了よ。」
レンジャーは微笑んだ。

「キャー」
どこからか悲鳴があがる。
「なんなの!?」
レンジャーは驚きながら耳をすました。
「あちこちで、白いコラッタが暴れてるぞ!!」
(この白く狂気に満ちたコラッタがまだ他にもたくさんいるの!?どういうことなの!?)
レンジャーは衝撃と疑問を感じた。
「一体、この島はどうなってるの!?」


私はフィオレ地方のリングタウンでポケモンレンジャーとして働いている。
私がグレン島に来た理由は、ただ温泉で日頃の疲れを癒しに来ただけだった。
ここは温泉の観光地として有名でフィオレ地方でも知られている。
温泉街は人とポケモンで賑わい、島は綺麗な海で囲まれ、火山から見下ろした風景は特に美しい。
温泉はポケモントレーナーやポケモン達が日頃のバトルでたまった疲れを癒していた。
これがグレン島の本来の姿だったのだが…。
突如町には狂気に満ちた白いコラッタが出現した。
白いコラッタの戦闘能力は野生の普通のコラッタよりも強いと思われる。
しかし強いと言えども野生のコラッタより強い程度である。しかし、白いコラッタは戦闘不能になっても蘇る。
普通コラッタには自己再生能力などない。
今の私には理由などわからない。
今温泉街は白いコラッタにより、悲鳴に満ち、怪我人の続出や町の破壊をしている。
白いコラッタに挑んだ勇気あるポケモントレーナーとポケモン達は白いコラッタに挑むも驚異的な再生能力の前には打つ手もなく、ことごとくやられていく。
そのためトレーナーとポケモンの負傷者が後を絶たない。
そして温泉街は癒しの場ではなく戦場と成り果てていた…。
温泉街の崩壊も時間の問題だった。

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