第21章 - 1

ワープパネルを踏むと、今度は狭い部屋に出た。すぐ近くにワープパネルと閉じたシャッター、それとT字に分かれている廊下が見える。
「ミミロップ達はどこに向かった?」
「あのT字路を右に行ったとこのワープパネルさ。アタシゃそこで引き返したから、その先は知らないがね」
取り敢えず右に行った先にあると言うパネルに向かってみるか。先を急ごうと俺は走りだし、T字に分かれている廊下に向かう。
俺がT字路に勢い良く飛び出ようとすると、右の方からも何か飛び出して来て――ッ!?
「がっ!」
「きゃっ!」
避けきれず正面衝突してしまった。俺は跳ねとばされたが、空中でクルリと体勢を整え地面に着地する。
そして、ぶつかってきた謎の襲撃者に備え構えるが、
「痛たた……何だってのよーっ!――って、あれ?ピカチュウ!」
目の前にいたのはミミロップだ。後ろにロゼリア達もいる。
味方と分かり互いに構えを解く。
「……お前か。先に進んだのでは無かったのか?」
「えーと、それが、そのー」
ミミロップは気まずそうな顔をしている。
「ワープでまよって、おんなじところを――」
「ちょ、ムウマージちゃん!」
ミミロップは慌てて手でムウマージの口を塞ごうとしたようだが、手がムウマージを擦り抜けてしまう。
「ずーっとぐるぐる~」
「こ、こら!……もう!」
なるほど。
「ミミロップ……アンタ、あの時から進歩してないんだね」
呆れた顔をしてニャルマーが言う。ムクホークが横でこくこくと頷く。
「あは、あはは……」
ミミロップは苦笑いしている。
何とも情けないが、無事に合流できて良かった――と言う事にしておくとしよう。


さて、時はピカチュウがバンギラスと戦闘している頃に戻る。
ここヤマブキの、シルフビルの前に赤帽子の子供――レッドは立っていた。
(ここの一番上にサカキが……)
何があったのか、見張りはうつ伏せたまま動かない。
レッドは、ロケット団のアジトで出会ったピカチュウの事を考えた。
(もしあのピカチュウがここに来ているとしたら…)
[ガシャーン!]
その時、上の方からガラスが落ちてきた。
上で誰かが戦っているようだ。
(まさか、サカキが!?こうしちゃいられない、早くサカキを倒さなきゃ!)
次の瞬間、レッドはダッシュでシルフビルの扉をくぐった。


part2 468様作

ミミロップ 1.2m
ピカチュウ 0.4m
ということはつまり

↑みたいになる気がする


ミミロップ達と無事に合流し――いや、ミミロップのせいで俺は顔面を負傷したが。
ダークライの後を追おうとビル内部を進んでいるのだが、
「またこの階に出ましたね……」
ロゼリアがうんざりした様子で呟く。
そう、ぐるぐると回るように同じ所に出るばかりなのだ。先程受けた膝蹴りの衝撃で俺の頭もまだ少しぐるぐるしている。
改めて思ったが、この建物は非常に不可解な構造をしている。
とりあえず階段だけで上を目指してみたが最上階の11階は行き止まり。何も考えずにワープパネルを踏めば、たちまち訳が分からない倉庫や意味の無い廊下に飛ばされてしまうのだ。
こんな構造では混乱するだろうに。人間の考えることは分からない。そして蹴られた顔面の痛みで考えがまとまらない。

恐らくこれまでに幾つか見かけた閉ざされたシャッターの先に、何かしら突破口が有るのだろう。今俺達がいるこの部屋にもそれがある。
しかし、破壊しようにもこのシャッターは非常に頑丈で俺の電撃でも、先程俺に強烈な打撃を与えたミミロップの蹴りや、ロゼリア達の攻撃でもビクともしないのだ。
ムウマージに擦り抜けさせようとしても、見えない力に弾き飛ばされると言う。ダークライの力だろうか。俺は先程ミミロップの力に弾き飛ばされたが。

「ピカチュウ、ごめんってば~」
先程から、俺の顔面を故意では無いとはいえ膝で蹴り飛ばしたミミロップが、申し訳なさそうに何度も平謝りに謝ってくるが俺はそれをずっと無視していた。
「も~……」
「ああなるとしばらく収まりませんね」
「アンタらも大変だねぇ」


「お前ら何をして――」
後ろで何かをごにょごにょ喋っているミミロップ達に俺は苛立ち、大声で怒鳴ろうと振り返ろうとした。
だがその時、目の前のシャッターが突然開きだした。
「……!」
俺は急いでシャッターの方を向き直し構える。
シャッターが開くとそこには大勢のロケット団員が待ち構えていた。虚ろな目をし、顔には生気が無い。
明らかに様子がおかしい。
「侵入者……排除、排除、排除、排除」
呪文のようにそう呟きながら団員達はぞろぞろとこちらに迫ってくる。
「な、何なの?」
やはりダークライに操られているようだ。

団員達は一斉にモンスターボールを投げ、アーボやドガース、コラッタ等を繰り出してきた。
団員達と同じように目は虚ろで顔に生気が無い。

全部合わせて十数匹。この数は――マズいな。


――ハクタイの洋館。
洋館のキッチンに何かを擦る様な怪しい音が響いている。
ドンカラスがすり鉢で何かをすり潰しているようだ。すり鉢の横には、半分に切られた刺々した緑色の木の実――とても苦いドリの実が置いてある。
テーブルの上には他に小麦粉やバター、麺棒等も用意してあるようだ。
「待ってやがれよ糞ネコが。あの激辛チョコの“お礼”をしてやらあ、クカカカカ……」
意地悪げな笑みを浮かべるドンカラス。
キッチンにはドンカラスの高笑いと木の実を擦る音が響き続けた――

――ニューラのアジト
いつもの広間で、マニューラは暇そうに氷のソファーに足を組んで座っている。
アジトの入り口に繋がる通路の方から、ニューラが気だるそうに広間に入ってきた。
「おい、マニューラ。ドンカラスの奴が来てるっつーの。入り口ん所で待ってんぞ」
「ああ?何しに来やがったんだ?」
あくびをしながらダルそうにニューラは答える。
「わかんね。カーカーうぜーからさっさと行っとけ。昼寝もできやしないっつーの」
「そーか。ま、ヒマしてたとこだしアイツの間抜け面でも見て来るか、ヒャハ」
マニューラは氷のソファーからひょいと飛び降りた。ソファーが砕けて溶ける。
そしてドンカラスが待つ、アジトの入り口へと歩いていった。


アジトの入り口にはドンカラスが、何か小さな物を抱えて待っていた。
「よお、糞カラス。てめーからオレんとこに来るなんて珍しいじゃねーか。そんなにオレに会いたかったかよ?ヒャハハ!」
いつもの調子でマニューラは悪態を吐くが、
「その通りでさあ。会いたかったですぜマニューラ」
ドンカラスは顔色一つ変えずにさらりとそう言ってのけた。
「き、気持ちわりーな。何なんだ」
予想外の返答にマニューラは戸惑う。
――只でさえ出不精な糞カラスが、まさかオレに会うために来るなんてありえねえ。何を企んでやがる。
ドンカラスはゴソゴソと小さな紙袋を取出し、マニューラに差し出す。
「これを渡しに来たんで。受け取ってくだせえ」
疑いの眼差しをドンカラスに向けながらマニューラは袋を受け取った。
「何だ、これ?」
「ま、開けてみやがれ」
マニューラは恐る恐る袋を開ける。中には手作り感が漂うクッキーが入っていた。
「……どーいうつもりだ」
へへっ、とドンカラスは笑う。
「今日はホワイトデーだろうが?あの時の礼にな。ほら、早く食ってみなせえ。」
促され無言でクッキーを口に運ぶマニューラ。ドンカラスは心の中でにやりとほくそ笑んだ。

「んぐッ!? ――」


「クカカ、ざまあみやが――」
「……旨えじゃねーか、ヒャハハ」
「な、何ぃ!?ちょ、貸せッ!」
ドンカラスは慌てた様子でマニューラからクッキーを奪い取り、自分もこっそり食べてみる。
「ヴッ!?やっぱ、苦ぇ、ゲホッ!ゴホッ!どうなて……」
「ヒャハハハハ! どーせこんなこったろうと思ってな――」
マニューラは口から、氷漬けになったクッキーを出す。
「この通り、だ。てめーがオレを嵌めようなんざ1000万光年早いぜ」
「うぐぐ……ちきしょう!ゴフッ、覚えてやがれよ!糞ネコぉ、ゲホッ!」
「ヒャハハ、おととい来やがれってんだ」
ドンカラスはクッキーの袋を投げ捨て、捨て台詞を残してふらふら飛び去っていった。
マニューラはクッキーの袋を拾い上げる。
「わざわざこんなもん作ったのか。ふーん……。」

――「こんな入り口のとこで何うずくまってんのさ?マニューラ?」
「ゴホッ、うるせー……ほっとけゲホッ!」

続かない


味方は俺を入れて7匹。敵は場に出ている奴らだけでこちらの倍の数だ。
控えのポケモンが入っているであろうモンスターボールが、団員達の腰に付いているのも見える。
いちいち相手をする時間も割ける体力も無い。それにこのまま戦っては、囲まれて数の利に押されてしまうだろう。

「やばいよ!やばいって!」
「うるさいね、アンタは静かにしてな!」
情けなく声を上げるムクホークを、苛々した様子でニャルマーが怒鳴りつける。
一度に敵の数を減らせ無いだろうか……放電――いや、駄目だ。味方まで巻き込んでしまう。フライゴンの地震――こちらも同じく。

敵はじりじりと距離を詰めてくる。
地形を活かせないか?今まで通ったのは小さい倉庫、大きな部屋、長く狭い廊下……――!

「ロゼリア!お前、ソーラービームは使えるか?」
「は、はい。でも撃つのに時間がかかりますよ?力を溜めてる間にやられちゃいます!」
「いいから溜めろ!ミミロップ、ロゼリアを持ち上げろ!」
「わかったけど何するつもり?」

「全員、俺に続け!ミミロップはロゼリアを抱えたまま、最後尾で付いてこい!」


敵に背を向け走る。目指すはこの角を曲がり、そこにあるワープパネルを踏んだ先の――!
「おってきてるよ~!」
「いいから付いてこい!」
曲がり角の先のパネルを踏み、ワープする。

あの先だ、あの長く狭い廊下!
「全員遅れてないな!?」
「は、はい!」
目的の廊下に入り、俺達は廊下の向こう側を目指し走る。後ろの方から大勢の敵の足音が聞こえる。
「なるほど、そういうことですか。チャージ完了、装填OK――ソーラービーム、撃てます。」
「ミミロップ!振り向いてロゼリアを前に突き出せ!」
「こ、こう!?」
ミミロップが振り返り、ロゼリアを前に突きだす。
廊下が狭く、敵は一直線に並ぶようにこちらに向かってきていた。
「よし、撃てえーーーッ!!」
「了解!」
「え!?」

ギュウンという収束音の後、ロゼリアから太い光の束が放たれる。光の束は廊下を進む団員とそのポケモン達を飲み込み、吹き飛ばした。
衝撃で壁まで押しやられ、山積みになって気絶している団員とそのポケモン達。
「……成功だ!」

「痛たた……び、びっくりした~」
ロゼリアのソーラービームの反動で、ミミロップは尻餅をついてしまったようだ。

こっちも成功。軽い仕返しだ。

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