第1章 - 3

遂にドンカラスが現れた。
「先程は館の居候共がくだらねえおもてなしをしたみてえだな。」
「ふん、時間を随分無駄にさせてもらった。」
帽子の様な羽毛をかぶり直すような仕草をしながらドンカラスも言葉をかえす。
「クァッカッカッ、それは失礼した。こんどは俺様が直々にもてなそう。手下のヤミカラスを可愛がってくれたお礼もしたいしな!」
ドンカラスがパチンと羽を鳴らすと大量のヤミカラスが洋館の窓を破り押し寄せる!
・・・さすがにこの数はまずい。
「ハッ、手下を使わないと何もできないか?」
「・・・安心しな。こいつらはただの観客だ。ぺカチュウ、一対一の勝負としよう。」
上手い具合に挑発にのってくれたようだ。
「上等だ!」

「そーなると私達ひまねー。」
「応援してるしかないですね。」
「・・・ぼわ~ん。」
「あれ?ムウマちゃん、その円盤みたいなの何?」
「さっきひろった~。」


「ドンー!頑張ってくださーい!」
「ピカチュウー!負けちゃ駄目だめよー!ですよー!だよ~!」

「じゃあ俺様から行かせてもらおう!」
ドンカラスの觜の周りの空気が渦巻く!ドリル觜だ!
「っ!」
ピカチュウに觜が突き刺さった!・・・かに見えたがその姿が揺らいで消える。
「何っ?」
「幻影だ!」
ドンカラスの後ろに回り込んだピカチュウが電撃を放つ。
「ぐうぅっ!影分身か!」
「ふん、鈍いんだよ。」
「なかなかやるようで・・・だがこれならどうだ?」
ドンカラスの体から黒い霧が吹き出す。
「!?」
「クァカカ、俺の姿が見えないだろう?だが俺様からはお前の姿が丸見えだ!」
「くっ!」
ピカチュウは分身を出そうとしたが分身は消えてしまった!
「そしてこの霧は影分身も掻き消す!クチバシを食らうがいい!」
「あぐっ!」


「卑怯よ~!」
「こんなのひどいですー!」
「ぶ~ぶ~!」
ミミロル達が物を投げまくる。
「勝負に卑怯も糞もあるか!」
ここまでなのか?俺はこんな所で?
・・・ん?この円盤は!

「トドメだあっ!」
ザクッ
「クァッハッハッ!俺様の勝ちだ!」
黒い霧が晴れる・・・。
「な、なあ!?人形!?」
「“身代わり”だ。一か八かだったがこれは霧じゃ消せないようだな。お前の敗因は相手をよく確認せずに霧を解いてしまったことだ!」

ピカチュウの10万ボルト!
「あぎゃーーーーーっ!!」


「ド、ドンが負けた・・・!」
「やったぁー!」
黒焦げになってピクピク痙攣しながらもドンカラスが喋る。
「うぐぐう~・・・完敗だ。ちきしょう、この森を荒らしててめえは何が目的だ!?」
ふふん、とピカチュウが鼻を鳴らす。
「ならば話してやろう、我が野望を!」
ピカチュウは野望を・・・

「・・・どうだ?理解したか?」
「・・・でけえ、でけえよ。あんたの野望って奴は!わかった!このドンカラスファミリー、喜んであんた達に力を貸すぜ!そのかわり・・・」
「(はあ・・・。)なんだ?」
「俺様に勝ったあんたをボスと呼ばせてくだせえ!それと組織の地位が低いとヤミカラス達に示しがつかないんでそれなりの地位を・・・。」
こいつもか・・・。
「わかったわかった、四天王の座をくれてやろう!」
「ありがとうボス!一生ついていきやす!」


ヤミカラス達の中には不満をもらす者もいたが、ドンカラスが叱りとばした事でそれもおさまった。
「ところでボス、これからどうするおつもりで?」
「そうだな、また新たな手下を求めどこか別の土地へ向かうことにする。」
「俺様・・・いや、あっしはどこへでもお供しやすぜ!」
「いや、お前にはこの森にいてもらう。」
「そ、そんな~!なぜです!?」
「この森の留守番が必要だ。それにまだ俺に従っていないポケモン達を従わせてもらいたい。」
「わ、わかりましたボス!任せてくだせえ!」
ポン、とドンカラスは自分の胸を叩く。
「あ、そうだ。コレをあっしだと思って連れてってやってください。」
ピカチュウに不思議な石を手渡す。
「これは・・・?」
「闇の石と呼ばれるもんです。光物が大好きなヤミカラス共が拾ってきた物で、不思議な力が秘められてるんでさあ。」
「ありがたく貰っておこう。」

「それじゃあボス、お達者で~!」
ドンカラスとヤミカラスに見送られながらハクタイの森を後にする。

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