第18章 - 4

サイホーンを包んだ黒い球体が少しずつ小さくなり、何かが出てくる。「行け、ドサイドン」「グガアァァァ!」中から出てきたのはドサイドンだった。その姿はどす黒く、邪悪な力がにじみ出ている。「………来るぞ!」「ガアァァァ!」咆哮とともにドサイドンがロックブラストを繰り出す。「うわぁ!」「キャァァ!」みな避けるので精一杯だ。「く………」俺は岩を避けながらドサイドンとの間合いを詰め、尻尾をたたきつける。バキ!!ギリギリのところでドサイドンが腕で防ぐ。「ガアァァァ」ドサイドンが俺を弾き飛ばす。「チィッ………」さっきよりもけた違いに強くなってる。俺のアイアンテールもほとんど効いていないようだ。
「ごめん!」「ぐはっ……」赤帽子のピカチュウが俺を踏み台にして一気にダークライに近づいた。
(この俺を、踏み台にしただと!?)「行け!ピカチュウ10万ボルトだ!」赤帽子のピカチュウがダークライに電撃を放つ。だがダークライは避けようともしない。「フッ、無駄なことを」


電撃はダークライの方には向かわず、ドサイドンに吸い込まれた。「く、ひらいしんか………」
このままでは時間が………しかたない。「お前たち!ここは俺とこのピカチュウにまかせて赤帽子と一緒にサカキを追え!」「えっ、でも………」ミミロップが心配そうに言う。「俺が信じられないのか?大丈夫だ」「でもドサイドンなら僕が戦った方が………」ロゼリアが前に出る。「ダメだ、サカキも強力なポケモンを持っているはずだからな」「………わかったわ」ミミロップがしぶしぶうなずき、サカキが出て行った方へ行こうとする。「おい、ピカチュウ!さっき踏み台にしたことは許す。主人にサカキを追うように伝えろ」「は、はい!」
「そう思い通りに行くと思っているのか?」ダークライが不適に笑い出口に悪の波動を放とうとする。「道を塞ごうたってそうは行かない!」赤帽子のピカチュウが目がくらむほどの光を放つ。「ぬぅ……」「いいぞ、ピカチュウ」赤帽子とミミロップたちがサカキは出て行った道をかけていった。「………まあよいお前さえ倒せれば私の計画に支障は無い」「お前にできるかな?」これで戦況は2対2…(さて、人間に育てられたコイツにどれだけの力があるか………)


激戦のなかブレークタイム「石板探し@キッサキ」
「アタシは寒いところが苦手なんだよ。ちょっと入れておくれ」ニャルマーはムクホークの羽毛に潜る。「あべぇ!冷たい!やめっ…落ち…ん?」ムクホークは急降下してゆく。「石板ですか?鳥の視力には感激です!」続いてフライゴンも降下する。ムクホークはニャルマーを降ろし、全速力で走る。「ミミロップたんの進化前、ミミロルたんのコートだ!グヘヘ、これでミミロップたんといつでも一緒…」「なかなかいい「コート」だねえ。」「鳥の視力ってすごいねえ。」ムクホークに近づく。「えっとこれには訳が…うわぁぁぁぁ!!」
今日の技紹介げきりん いりょく1202-3ターンのあいだ暴れまくって攻撃する。暴れた後は混乱する。
「ミミ…ロップたん…」バタッ
石板探しの旅は続く。


「闘いの匂いだ…。感じる、感じるぞ! 強者の気配を!」
――ロケット団アジト内二人のロケット団がどこかに向かい急いで走っている。「先輩、本当にあの開かずの倉庫を開く気ですか!?」痩せた臆病そうなロケット団員が、がっしりとした体格の先輩らしきロケット団員に怯えながらたずねる。「ああ、サカキ様のご命令だ。中にいるポケモンを運びだす」「だ、だってあの中にいるのはとんでもない怪獣ポケモンだって…」体格のいい団員は麻酔銃の入ったアタッシュケースを見ながら言う。「大丈夫だ。もしもの時にはこれがあんだろ。」「本当にそんなの効くんですかぁ? ジョウトからあれを密輸した時も、数十人の死傷者と数十匹のポケモンを犠牲にしたって…。結局、あの時に捕獲できたのはまだその時は制御下にいた例の白い怪物の力のおかげだったらしいですし…」はあ、と体格のいい団員はため息をつく。「仕方がないだろ。命令に逆らえばポナヤツングスカだぞ。」「死ぬよりましですって!」「…ほら、お前がぶつぶつ文句を言ってる間にたどり着いたぞ」団員達は大きな鉄の扉で封じられた倉庫の前にたどり着く。「何か唸り声が聞こえますって~」痩せた団員は震えながら言う。「大丈夫だっての。臆病な奴だな」そう言いながら体格のいい団員は扉の横の機械にカードキーを通そうとする。


ゴゴゴゴゴ、と突然地響きが起こる。「わわわ! 何だー!?」「おっと…ふう、収まったか。急ぐぞ」「もうやめましょうよ~先輩!」半ベソで痩せた団員が叫ぶが、それを無視し体格のいい団員はカードキーを通し扉を開ける。ズズズと大きな音をたて鉄の扉がゆっくりと開く。「ひ、ひいぃ、こいつが…」中には鉄の檻、鎖、鉄球、何重もの拘束具で繋がれた大きなポケモンがいた。銅色の鎧のような甲殻に包まれた巨大な体、睨まれただけで臆病な者は泡を吹いて倒れそうな凶悪な眼、傷を刻まれ潰れている右眼は歴戦の証だろうか。バンギラス――そのポケモンは人間達にそう呼ばれている。「よ、予想以上にでかいな…」実際にバンギラスを目の辺りにして体格のいい団員も少し怯む。「さっさと運んで…」体格のいい団員がそう言い掛けた時、バンギラスがぶちりと鎖を引きちぎる。「な!?」「グギャオオオォォン!」バンギラスが咆哮をあげると室内にもかかわらず砂嵐が巻き起こる。バンギラスは鉄でできた檻の太い柵を、針金のようにグニャリと曲げ外に飛び出す。「くそっ!」麻酔銃を構えようとした団員を右足に繋がれた鉄球で吹き飛ばし、そのまま鉄球を壁に叩きつけて壊した。痩せた団員は腰を抜かし口をパクパクさせている。バンギラスはそれを横目でギロリと見た後、興味が無さそうに痩せた団員の横を素通りし倉庫の外に出た。ゴゴゴゴゴ、もう一度先程のような地響きが起こる。バンギラスは嬉しそうにその凶悪な眼を輝かせると、その地響きの方に振り向き走りだした。「闘いの匂いだ! 強者はこの先か!」


(ヒソヒソ………ピカチュウさん、どう考えても僕たちじゃ勝てませんよ)(まあな)(え?)(俺たちの目的はサカキを倒すことだ。俺の指示に従え………)「どうした?いまさら作戦会議か?」ダークライがせせら笑う。(………わかったな)(はい)
行くぞ!俺がそう言いかけると室内だというのに突然、砂嵐が吹き荒れはじめる。そして厚い壁を壊し銅色の巨大な怪獣のようなポケモンが倉庫に乱入してきた。「な、何だ!?」「…あんな奴がいるとは聞いていないが。まあいい邪魔だ、ドサイドンあのデカブツもやってしまえ」ダークライがドサイドンに指示を出す。「奴があの地響きの元か…久々の闘いだ、楽しませてもらおう。」銅色の巨大なポケモンはドサイドンを見て呟いた後、こちらをちらりと見て言う。「貴様らのような弱者に用は無い、巻き込まれたくなければ…む?貴様の顔、昔我が眼を潰した宿敵が連れていた子鼠に似て…?いや、気のせいか。我が興味があるのは強者のみ、去るがいい。」 …? 何だかよくわからないが、ここはこのポケモンに任せて逃げ…ゴホン、後ろを向いて前進だ!


「ちっ、待て!」ダークライが俺達を追おうとするが、あの銅色のポケモンに尾で叩き落とされ阻まれる。「どこへ行く? 久しぶりの獲物だ、逃がしはせんぞ」「ぐうっ、まずはこいつから始末してやるッ!」チャンスだ。――
「……何とか逃げ切れましたね」「ああ、予期せぬ乱入者が現われたがが失敗などするはずが無い」ピカチュウ達はサカキの出て行った通路を走っていた。「でも、よくこんなこと考えましたね」「いや、これが最善の手だ。今回の目的はサカキを倒し、ロケット団を潰すこと。あの巨体じゃ俺たちのことは追って来れないだろう。もしサカキに逃げられたとしても俺たちをとめる事ができなかった。ダークライとまた協力しあうとは思えないからな」 「なるほど……」「話はここまでだ、先を急ぐぞ!」「はい!」


ドサイドンは角をへし折られ、体もぼろぼろになって倒れている。「つまらぬ。この程度か。」「ちっ…使えん道具め」「次は貴様か?」ダークライは何かを思いついたようにニヤリと笑う。――この力、使える。
「…待て、俺と取り引きをしようじゃないか。」「取り引き…だと?」「ああ、そうだ。お前は強者との闘いを求めているんだろう?俺の野望に協力すればいつか神のごとき力を持ったポケモンとも闘える」 先程まで吹き荒れていた砂嵐が止む。「詳しく聞かせてもらおう」「くく…ああ、いいだろう――」


――シンオウ、ニューラのアジト
アジトの広間は真っ暗で何も見えない。恐らく広間の真ん中に器用に作り出した氷のベッドの上で、たぶんマニューラが暇そうに寝転んで足をバタバタさせているようだ。「ヒャ~ン、暇暇暇暇ー! てめーら起きろー!」マニューラがうるさく騒いでいると広間の上の螺旋階段状の通路の所々にある巣穴から、大方ダルそうにニューラ達がぞろぞろ出てくるのがニューラ達の暗やみに光る目でわかる。「うっせーぞ、マニューラ! 目ぇ覚めちまったっつーの!」「うるっさいわねー…大声出さないでくれる?あたし低血圧で…」「まだこんな時間! ギャピ!」他のニューラ達も口々に文句を言っている。「ヒャハ! 起きたかてめーら!早起きは三ポケの得って言うだろーが!グダグダ言うな、ヒャハハ!それじゃライトアーップ!」「ビビビ!」マニューラの声に反応して天井に吊されているレアコイルがフラッシュを使い、広間が明るくなる。ひょいとマニューラが氷のベッドから飛び降りると、ベッドは砕け散り溶けて消えた。
「ヒャハ、それじゃ本題に入る。暇だからてめーら何かおもしれーこと考えろ、以上。」はあぁ!? ニューラ達が一斉に怒りの声を上げた。「自分で考えろっつーの!」「ヒャハ! あんま怒ると毛並みが荒れるぜ?オレを見ろ、いつも明るいマニュちゃんはいつも毛並み艶々グッドコンディション!可愛さ格好よさ美しさMAーX!」マニューラは自慢げにポーズをとる。「バカはほっといて寝直しましょ…」ニューラ達は巣穴に帰っていった。「ちっ、ノリわりーな。そーだ、今日は…ヒャハ!糞カラスをからかいに言って来っか」


マニューラはいつものニューラ三匹を連れて、ハクタイの森に来ていた。「結局、またオレ達が連れてかれるのかっつーの…」「またこいつらと一緒なの…?」「腐れ縁! ギャハ!」マニューラに無理矢理連れてこられ、ニューラ達はぐだぐだ文句を言う。「うっせーぞ、てめーら!」
そんなこんなでマニューラ一行は洋館にたどり着いた。マニューラは玄関の扉を乱暴に蹴り開ける。「ヒャハハ!糞カラス、生きてるかー!?」その音を聞きドンカラスが機嫌が悪そうに2階から飛んで降りてくる。「何しに来やがったんでぇ、糞ネコぉ!」「今日はな、わかんだろ?ほら、これ…」マニューラはわざとらしくもじもじしながら、ドンカラスにラッピングされた箱を渡す。「? なっ!? これは…」ドンカラスは考えを巡らす――こ、これはチョコ…だが何で糞ネコがこんなものを渡してきやがる?何を企んでやがんだ。そもそも糞ネコは野郎…。いや、待て。もしかしたらあっしが糞ネコを見た目と性格と汚ねぇ言葉遣いで野郎と思い込んでいやがっただけで実は…。昔からの腐れ縁だが女と気付かなかった…のか?あ、ありえねぇ!だが、あの糞ネコの頭の赤いアレは中途半端な長さしてやがって、どっちとも言えないような…。よく見りゃ顔つきも女っぽいとも言えるような…。だが、いや、まさか。「ひゃ~ん、何焦らしてやがんだ? さっさと食ってくれ」マニューラがわざとらしく顔を赤くしながら、動きが止まっているドンカラスに言う。ニューラ達は後ろでドンカラスに気付かれないように笑いを堪えていた。「お、おう。」ドンカラスが恐る恐るチョコを口にすると…。

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