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第16章_1

こうして俺達はシオンタウンに着いた。
「大きな塔ね~」
「ちょっと怖いです…」
「ムウマージここおちつく~」
「よし、塔に入るぞ」
俺達はシオンタワーに突入した。
棒を持った婆さんが大量に居て不気味すぎる。
すると、1人の婆さんが野生と勘違いしてゴースを繰り出してきた。
「ケケケケ! お前らなんか呪ってやるぜ!」
戦闘か。仕方ない。
「ムウマージ、頼んだ」
「わかった~」
手下にしたかったが、人間のでは仕方ない。
「何だテメー! それでもゴーストタイプかよ!」
「ムウマージ、きみたおす~」
ムウマージのシャドーボール!
「ウギャー!」ゴースは倒れた!
「呆気なかったな」
すると、婆さんは金を落としてどこかに消えた。
「ムウマージちゃん、あの技はどうしたの?」
「さっきおぼえた~」
「凄いです!」
「早く上に行くぞ!」


「ピカチュウせっかちです~」
「うるさい」
と言ってみたもののやはり、ここは慎重に。
俺たちはどんどん上に上がっていく。
しかしなんだ、上に上がっていく程強くなるこの悲しいオーラ。
胸が強く締め付けられる・・・
「なんだか、悲しい気持ちです。」
「そうね」
「ムウマージ、悲しい~」


早く上に行くのには理由が二つあった。
余りにもまがまがしい力を感じること、そして人間とはいえ三人も死んでいるのだ。
ムウマージがどうやらゴーストには有効な技を覚えたのでそう苦労することはないと思うが…

最上階への階段の前でロゼリアが言う。
「そういえば、塔の中の人を数えたら105人でしたね。そんなにたくさん集まって何をするんでしょう。」
「そういえば、ムウマージきいたことある~」

俺たちは対策も考えることにし、ポケモンの墓の陰でムウマージの話を聞いた。
「なんかむかしに108にんでふういんされたポケモンがいるんだって~」
「と、言う事は108人の命をささげれば復活できちゃうって事!?やっぱり急ごうピカチュウ!」

最上階に着くと、そこにはゲンガーと抜け殻みたいなポケモンがいた。
「ようこそ、ピカチュウ。」
「――!なぜ俺の名を知っている。」
「とりあえず雑魚には眠っていてもらおう。」

ゲンガーが目を光らせると、手下たちは眠ってしまった。
…何かがおかしい。
よく見ると、普通のゲンガーよりも色が濃い。吸い込まれそうに真っ黒だ。


手下が眠った次の瞬間、ゲンガーの形が崩れ、姿を現したのは――黒いピカチュウだった。

「ピカチュウ。貴様には野望があるといったな。俺もポケモンだ。協力してやったぞ。」
「こんな風なことを望んだ覚えは…ない。」
はっきりと言い切ることができなかった。
「残念だな。しかしすでに準備は整いつつある。お前も見てきたであろうたくさんのトレーナーは、あと少しで自分のもっとも懐かれているポケモンに無残に殺されるのだよ。」
「黙れ!」
俺は10万ボルトを放った。しかし黒いピカチュウには当たらず、抜け殻に当たった。
…しかし、全く効いていなかった。

「はーはっは。お前にこいつは倒せんよ。ところでピカチュウ、ミミロップについてどう思っている?」
「黙れ。」
「黙らんよ。おっとショータイムだ。手下の死に行く姿を見るがいい!」

と次の瞬間、黒いピカチュウが消えた。同時に抜け殻が襲ってくる。
アイアンテール!手ごたえはあった。――しかし奴は無傷だった。

「うう~」
ふと横を見るとミミロップから血の気が少しづつ引いていっている。
クソっ!どうしたらいいんだ。


――ここは、ハクタイの森。私はいつ戻ったのだろう。
ロゼリアちゃんもムウマージちゃんもいる。

「ねぇロゼリアちゃん。私たちいつ戻ってきたの?」
「昨日ですよ。ミミロップさん寝てる間に帰ってきちゃいました。」
「え?ピカチュウとの旅は?」
「もくてきたっせいした~」

私が戸惑っていると後ろから叩かれた。
「よう、ミミロップ。おはよう。」
「ピカチュウ…もう旅はいいの?」
「あぁ、もういいんだ。世界征服するより、もっと大事なものが分かったからな。」
「もっと大事なものって何よ。」
「…お前だよ。俺はお前と二人でのんびりやっていこうと決めたんだ。」

ピカチュウ…私が何も言わないとピカチュウは話を続けた。
「今まで迷惑ばかり、辛い思いさせてきて悪かったな。これからは楽しく暮らそう。」
「そうそう~たのしくくらそう~」
「実は、二人で住む家も昨日建てたんだ。案内するからついてきてくれるか?」

私は、戸惑いながらもピカチュウに着いていった。正直、びっくりしているけど…うれしい。


――クソっ!なぜ攻撃が効かない?
ミミロップを助ける前にこいつを倒さなければならない。
しかしボルテッカーまでもが無効化され、万策つきつつあった。
隣では安らかに、しかし弱っていくミミロップの姿がある。
…俺は一人では何もできないのか。手下、いや仲間一人助けられないのか…

抜け殻は俊敏に、且つ高い攻撃力を有していた。かつてない屈辱、俺は拳を握り締めた。
…と、腕に金色に光る腕輪がはまっていた。余りにフィットしていて存在すら忘れていた。
奴が向かってくる。俺は腕輪に集中した。
「…友よ、力を貸してくれ。」
ありったけの集中力を赤い玉に込め、10万ボルトを放つ。
まさにピカチュウを切り裂こうとしたその瞬間、抜け殻は灰になった。
俺はすぐさまミミロップに近寄った。

「大丈夫か。起きろ。」

――ピカチュウに案内されるがままに付いていくと、大きな家があった。
「お前のために建てたんだよ。さ、入ろう。」
「うん…」
私が扉へ入ろうとすると、後ろからピカチュウの声が聞こえてきた。

「大丈夫か。起きろ。」
「私は起きてるわよ。ってピカチュウが二人!?」


「おいおい、あんな奴無視しとけよ。それよりも早く家に入ろう。」

――俺が見てぞっとするほどミミロップは急速に弱っていった。
「おい!戻れ!戻らないと四天王降格だぞ!」
俺は訳の分からないことを口走っていた。

――もう一人のピカチュウが叫んでいる。
「おい!戻れ!戻らないと四天王降格だぞ!」
私は二人のピカチュウの板ばさみになってしまった。
正直な気持ち、優しいピカチュウには違和感を覚えたけど私はピカチュウと幸せに暮らしたい。
…でも、どちらかが偽者であることには変わりない。

私は、先のピカチュウに一つ質問をすることにした。
「私を幸せにしてくれる?」
「当然だ。こうして家も建てたし、お前をずっと、永遠に幸せにするよ。」

向こうのピカチュウに一つ質問をすることにした。
「そっちへ行ったら、何してくれる?」

――「そっちへ行ったら、何してくれる?」
かすかにミミロップがそう言った。俺は毅然として言い放った。

「――またおんぶさせてやる。だから、戻れ――」


「――またおんぶさせてやる」

「本当?」
本物のピカチュウは、こう言う。
「ああ。また皆で旅をしよう。だから…戻ってきてくれ!」
偽物のピカチュウは、こう言う。
「もう、旅はしない。これ以上お前を傷つけたくないんだ」

どっちが本物か分からない。私の気持ちも分からない。一体どうしたらいいの?
「一つだけ質問に答えて」
無意識の内にそう言っていた。
「私がピカチュウの仲間になるときに出した条件は?」

本物のピカチュウは、こう言った。
「四天王の座だ」

偽物のピカチュウは、こう言った。
「平和な世界」

――やっと分かった。
私は偽物に向かって、炎のパンチを繰り出す。
「なぜだ……うわああああああっ!」
偽物のピカチュウはしだいに薄くなり、そして消えた。


「ちぃッ!」

黒いピカチュウがミミロップから飛び出してくる。
「!」
ミミロップの顔に少しずつ血の気が戻る。
…………戻ったか。

「く、馬鹿な女だ…あのまま来れば楽に死ねたというのに…。」
「ふん、貴様にかどわかされる様な柔な手下ではないということだ!」

ギリ、と黒いピカチュウは歯を鳴らす。
「……どうかな?俺はしつこい性格でねぇ。それならば次の手下で試してみるまでだ。」
「させるか!」
ピカチュウは10万ボルトを放つが、黒いピカチュウの姿が影の様に揺らぎ擦り抜ける。
「くく、無駄だ。」
再び黒いピカチュウが姿を消そうとする。だが、

ズズンッ!
「グオオオォン!」
突如、タワーの壁を破り蒼い竜が現れる。
「!?」
そしてそのままの勢いで黒いピカチュウに突進し、鋭い爪で黒いピカチュウを引き裂いた!

「ぐうう!…貴様はッ!」
黒いピカチュウの体がドロリと崩れ、揺らめく黒い影の様な姿に変わる。
「………。」
蒼い竜は無言のままグワッ、と口を開き喉の奥を赤く燃え上がらせる。

「ち、アルセウスの犬め!邪魔が入ったが俺は諦めんぞ、ピカチュウ!」
黒いピカチュウだった黒い影は先程、竜が破った壁から逃げ出す。

「…間に合ったようだな。」


あまりの突然の出来事に俺は見ているしかなった。
グルル、という威嚇の声を止め竜がこちらを振り向く。
「…久しいな。我が主の友よ。」
「お前は…?」
「…ディアルガ。…今はボーマンダ、だが。」

「…色々と聞きたいことがある。俺達は何度もあの黒いピカチュウに襲われた。奴は何者だ?」
「ダークライ。主が最期にお前の手下達から抜き出し、消そうとした負の感情の集合体。」
「消されたのではないのか?」

ボーマンダは目を閉じ、少し沈黙した後、答える。
「………消されたはずであった。だが主の力は既に衰弱しており消しきれなかったのだ。」
「何故、奴は俺達を襲う?」
「負の感情の集合体だ。お前に対する手下達の小さな不満が集まり、憎悪にまで達している。」
…なんと迷惑極まりない話だ…。
「…なるほどな。」


「奴の存在は時空をも歪めてしまっている。お前も見たであろう?滅んだはずのロケット団を。」
! あれは幻覚では無かったのか…。
「…ああ。」
「奴がいては我らに残る力では歪みを直しきれん。奴をこのまま放置すれば、世界はバランスを崩し壊れてしまうだろう。」
恐ろしいことを淡々と言い放つ。
「な、何ぃ!?」

「我らも奴を追う。お前もこれまで以上に奴には気を付けることだ。」
ボーマンダは飛び立とうとする。
「ま、待て!まだ聞きたいことがある!アルセウスは、アルセウスは見つかったのか!?」
「………我らがダークライを倒さねばならない理由はそこにもある、と言っておこう。」

そう言い、ボーマンダは飛び去っていった。

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