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第15章

イワヤマトンネルはどうやら人間の手が入っていないらしく――完全な闇だった。
フラッシュが使えれば問題ないのだが、俺はやり方を知らない。
手下たちもこの闇では正直何も見えていないだろう。

「一度引き返すぞ。こう暗くては何もできん。」
…と引き返そうとしたとき、入り口に大量のイシツブテが降り注ぎ閉じ込められてしまった。
声が聞こえる。
「貴様たちは何者だ。」
「自分から名乗るのが礼儀じゃないのっ!?」
ミミロップが強気に前へ出る。
「ミミロップ、下がれ。俺はピカチュウ。」
俺は野望をナゾのポケモンに向かって話した。

――と。
「ゲラゲラヒーヒッヒ!!チビでクソの電気ねずみごときが征服ぅ!?逆に俺様の手下になってもらおうかなぁ!!このイワーク様のな!!」
どうやら敵の総大将はイワークであるらしい。自分こそ岩ミミズの癖に生意気なやつだ。
シンオウでハガネールと戦った俺たちには雑魚も同然だ。
俺はアイアンテールを放った。しかし当たらなかった。
それもそのはず、真っ暗闇の中その「イワーク様」がどこにいるか分からないのだ。

「ヒーヒッヒ!!はずしてやがるぜ!!俺様の地震でくたばってもらおう。」
地面が揺れる!このままでは本当にやられる。と、その時!

「ぐはあぁぁ!どうして攻撃が当たるんだ!」
「僕に任せてください!マジカルリーフ!!」
「こしゃくな。手下ども、この俺様を庇え。」
イワークがそういうとぞろぞろと音がした。
真っ暗闇の中何が起こっているかわからないが、向こうは見えているらしい。


「これでそのちんけな花が放つ変な技もイシツブテに守らせるぜ!クヒヒ!!」
心底性根が腐っている。
ぼこぼこにしてやりたいが出口も分からなくなってしまった。

「まだ俺のターン!行けゴーリキー、カラカラ!」
ボグ!鈍い音がして激痛が走った。どうやらゴーリキーの投げたイシツブテが命中したらしい。
「ピカチュウ!大丈夫?…痛っ!」
正直何が起こっているか分からない。このままでは――本当にまずい。

「まだ俺のターン!クソ電気ねずみは雑魚だからほかって置け。まずはあのでかいウサギからボコっちゃえ!」
…許さん!殺す!!

「ミミロップ!俺が一瞬10万ボルトで照らす。その隙にとび蹴りをやつの顔面にたたきつけろ。…とびっきり痛いやつをな」
「ムウマージとロゼリアはマジカルリーフでミミロップを援護してくれ。」
俺は飛びっきりに放電した。
真っ白になるくらい洞窟の中が明るくなり、イシツブテを投げたゴーリキーにも当たったようだ。
「ピカチュウに石を投げるなんてゆるさなーい!!」

――バキィ!!


「クヒヒヒ!!」
イワークは無傷だった。代わりに渾身のとび蹴りを受けたのはガルーラだった。
「ご苦労!人質の子供は返してやるよ。ヒーヒッヒ!!俺のターン!地震!!!」

…だめだ。もう電気の力は残っていない。クソ、こんな外道にやられるとは…

「ゆるさない~ぜったいにゆるさない~!!!!」
突然洞窟の中が怪しく光り始めた。怪しい光どころの騒ぎではない。見ていて吐き気を催すほどである。
その発生源はムウマージだった。

「ウヒヒ!カラオケでもしようってか?行け、カラカラ、適当にボコっちゃえ!」
並んでいたカラカラから一斉に骨が放たれる。終わった…

――バキ!ドゴ!グシャ!


痛みは全くなかった。どうやら手下たちも無傷らしい。
そして視点を向こうに向けると…そこには骨が大量に刺さったイワークがいた。

「第二段!よーい!」
親分らしいガラガラがイワークに向かって言う。
「貴様らぁ!どうした!まぁいい、イシツブテども、俺様を守るんだ。」

次の瞬間、イワークに張り付いていたイシツブテたちが自爆した。

「ぬおおおお!俺のターンが終わってしまう!!せめて、じし…」
そう叫ぶイワークの顔面にガルーラのピヨピヨパンチが炸裂した。
「止めを、どうぞ。」
ガラガラが俺に向かって言った。
ムウマージはまだ光を発していたが、苦しそうだ。一発で決めてやるとしよう。

「拝啓イワーク様、手下になってください!!」
渾身のアイアンテールが奴の顔面にめり込んだ。

イワークが倒れると、出口をふさいでいたイシツブテたちが立ち退き、洞窟が少し明るくなった。
「もうむり~」
ムウマージが倒れる。
「大丈夫か?」
「ちょっとねる~」

さて、このイワーク様の処分を決めないといけない。


ガラガラに話を聞くと、イワークはもともとはイワヤマトンネルにはすんでいなかったらしい。
以前まではカイリキーのオスが長を務めていたらしいが遭難した山男に一目ぼれして付いて行ってしまったらしい。

「…と、いうわけで私たちはイワークのなすがままだったのです。」
「ふむ。このままではまたこいつに好き放題にやられてしまうというわけだな。」

――とイワークが目を覚ました。
「強くて高尚なピカチュウ様。何なりとお申し付けください。」
イワークは掌返したように従順になってしまった。

「ではお前にはイワヤマトンネルのすべてのポケモンに俺の手下になるように伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
「それからこのトンネルは暗すぎる。明るくしろ。」
「かしこまりました。」
「それから共和制にしろ。」
「かしこまりました。」

こうして、イワヤマトンネルはガラガラ、ゴーリキー、ゴローン、ゴルバット、ガルーラ、イワークがそれぞれに頂点に立つ共和制が誕生した。


俺たちはイワヤマトンネルで一泊することにした。
イワークの監視の意味もあるし、手下たちも今回の戦いで疲れている。

「これでまた目的に一歩近づきましたね。」
「ピカチュウのアイアンテール素敵だったわよ。」
「当然だ。」
「強くて高尚なピカチュウ様、お布団の用意が整いました。どうぞこちらでお休みください。」

――次の日。

イワヤマトンネルは目視で確認できる明るさになっていた。
イワークが主となって一晩中工事をしていたのである。

「ご苦労。」
「いえいえ、滅相もございません。ところで強くて高尚なピカチュウ様、こんなものを発見いたしましたのでどうぞお持ちください。」
…それは緑色の石でその中央には雷のマークが入っていた。
「ところでその強くて高尚な、というのは耳に障る。」
「申し訳ございません。強くて高尚なピカチュウ様。」
目を見たがどうも馬鹿にしているわけではなく本気で言っているらしい。

「しっかり留守番頼むぞ。」
「わかりました。気をつけて言ってらっしゃいませ。」


俺たちはイワヤマトンネルをシオンタウン側に抜けた。

「なんかあのイワーク気持ち悪くなってたわよ。」
「…言うな。しかし今回はムウマージご苦労だった。」
「えへへ~」
「ところで強くて高尚なピカチュウ様、シオンタウンには何があるんですか?」
ロゼリア…まぁいい。
「ゴーストたちを手下に入れる。」

と、シオンタウンに入る前に看板があった。俺はあまり人の文字に詳しくない。
「…ええと。ポケモンの怨念か。シオンタウンで原因不明のポケモンの反乱が起き、3人死亡。トレーナー各位はモンスターボールからポケモンを出さないようにしてください。…だって。」
「ロゼリア、詳しいな。」
「教養ですよ。」

シオンタウンでもまたひと悶着ありそうな気がする。

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