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第13章

宴会も終わり翌日の朝になった。そろそろ帰るか。

「ミロカロス、元の場所に戻してくれ。」
そういえば俺たちはハナダシティのポケモンコレクターの家にいくんだったな。面倒だからミロカロスに運んでもらおう。

「――分かりましたわ。」

俺たちは森の洋館からポケモンコレクターの家についた。ちなみにあいつらは疲れて眠っている。
ミロカロスはいつのまにかどこかへ消えてしまった。

…ディグダの知り合いはどんな奴だろうか。
そう思っていた頃、その家から声が聞こえてきた。

「コレを押せば元通りの体に戻れるんや…ポチっとな。」
「しまった!このスイッチは戻るときの場合外からしか押せないんや!どないしよう!」


――人間?
ディグダの知り合いは人間なのだろうか。
人間に見つかるのは避けたい、それにこいつらも寝ている。

焦ることはない。俺は大都市ハナダシティの視察に行くことにした。
久しぶりに有名なキンタマブリッジでも見てみるか。
見に行く途中人間の声が聞こえてきた。

「何やってるんだ!そんなんだからカスミに勝てないんだぞ!!」

見てみるとトレーナーがポケモンを叱っている。しかも何とピカチュウではないか。
自分のためにポケモンを使い怒る人間、まさに俺のトレーナーと一緒だ。
一気に殺意が高まるのを覚えた。電気を溜める。


――次の瞬間そのピカチュウから強い電撃がほとばしった。あれは、10万ボルト。

「よくやったなピカチュウ!やった!やったね!」

そのトレーナーはピカチュウを強く抱きしめていた。
そのピカチュウは、――とてもうれしそうだった。

「ご褒美のミックスオレが…ない。ちょっと取りに行くから待っててピカチュウ!」

そのトレーナーは自分の家に帰っていった。俺はそのピカチュウに話しかけてみた。

「おい、なぜ人間にあれだけ言われて我慢している。」
「彼は、とてもいいトレーナーだよ。僕たちのことをいつも気遣ってくれる。そんな彼に答えてあげたいんだ。」
「正直に言え、人間は好きか。」
「僕は、彼がとても好きだ。」
そのピカチュウはまっすぐな目をして俺にそう言い放った。
「あ、来た。」

――俺はトレーナーに見つからないようにその場を離れた。

俺も、そんな人間に出会えば考えが変わったのだろうか。


俺はあの黒いピカチュウが言ったことを思い出した。

「…お前にこき使われる手下の気持ちを考えたことはあるか?」

先ほどの人間とピカチュウを考えてみれば、確かにそんな気もしなくはない。
しかし、俺は自分でも戦った。ドンカラス、マニューラ、そしてアルセウス。
…俺は、何を考えているんだ。こいつらは確かに手下だが人間とポケモンのような関係など…

「おはようピカチュウ。」
「おはようございます。」
「おはよう~」

「…」

「どうしたの?」
「どうしたんですか?」
「ムウマージ、しんぱい~」
「なんでもない、行くぞ。」

こいつらは俺のことを心配してくれる。
それに、俺は絶対こいつらを裏切らない。

「ディグタの知り合いはなぜか人間の可能性がある。注意していくぞ。」
「何かあったら私がピカチュウを守るんだからっ!」

ディグダに教えてもらった家を覗いてみると、怪しげな装置に入った見たこともないポケモンがいた。
そして、そのポケモンは人間の言葉をしゃべっている。
「…あかん、もう出られへん」


「何かいたの?」
「僕も見たいです」
「ムウマージもみたい~」
「こら、押すな!あっ」

ガタガタ!お約束の崩れ方をしてしまった俺たちは怪しげなポケモンに見つかってしまった。
「誰か居るんやな?助けてや」

「どうするピカチュウ?」
「うむ…」
「僕は話してみるのも良いと思いますけど」
「うむ…」
「ムウマージがいってこようか~」
「うむ…あ、いや、こうなったらみんなで行くぞ」

どうやら家にいるのは怪しげな装置に閉じ込められたポケモンしかいない。
いざとなれば装置ごと焼き払うのもありだ。
正々堂々玄関から突入する。


「なんや、ポケモンかいな。しかも見たことあらへんのが三匹も。」

「なんか、あいつ生意気じゃない?」
ミミロップがやる気満々だ。

「まぁええ、そこのボタンを押してくれへんかな、赤いやつや。」
「断る。まずは俺の話を聞いてもらおう。」
俺はなぜか強気だった。
「まず、お前はポケモンか、それとも人間かどっちなんだ。」


目の前の怪しいポケモンは考えるばかりで一向に答えようとしない。
どうせ出られないのだ。少しはったりをかましても良いだろう。
「答えないならば、この装置ごと焼き払ってもいいんだぞ。」

「それはやりすぎだと思います。」
ちょ、ロゼリア、空気読んでくれ…
「こいつ憎たらしいからやっちゃえば?」
ミミロップ、どうしてお前はそんなにやる気なんだ…
「ムウマージにとっては、どっちでもいい~」
いや、よくねぇ…

「それは堪忍してえな。少なくともあんさんの味方やで。こうして会話もできよるに。」
「じゃあお前はポケモンなんだな?」
(どないしよう、ウソついて出たら殺されてまう。そもそもこいつらの目的はなんや。)

「いや、どちらか分かれへんのや。ところであんさんたちの目的はなんや。」


どちらか分からない?こいつは何なんだ。
しかし、少なくとも人間に俺の目的を教えることは極めて危険だ。

「やっぱり壊しちゃおうよ。こんな見たこともないポケモン絶対やばいって。」
どうにもこうにもミミロップは好戦的だった。
「そうだな、それも悪くないな。」
蓄電を開始する。しかしこれはあくまで鎌をかけているだけだ。
この装置が有用に使えるか、このへんなやつが人間とポケモンの言葉を両方しゃべれるならもうけものだ。

「人間だと思いますよ。」
ロゼリアが言う。
「ポケモンならトレーナーがいるはずです。しかし、この中にいるポケモンは一人で騒いでいます。おそらくこの装置は人間とポケモンをどうにかするものだと思います。」

どうにかするって言うのが一番大事なような気もするが、俺は強気に言い放った。

「人間なら残念だ。死んでもら…」
「わー堪忍してください!!あんさんのためなら何でも言うこと聞きますさかいに。」
「人間なんだな?」
「そうや。」
「では質問に答えてもらおう。この装置はなんだ。」


「ほんまに答えたら無傷で出してくれるか?」
「約束しよう。俺は、ウソは嫌いだ。」

――内容は俺たちが驚くのに十分なものだった。
ロケット団が開発していた人間とポケモンの合体、及びポケモン同士の遺伝子配合装置。
そしてそれを接収したこの人間―マサキという―がポケモンと人間の平和利用のために実験していたということ。

「今まではポケモンの言うことは人間には伝わらんかったんや。しかし今はこうして話ができるやろ。一人では出られへんのとちょっとビジュアルが気持ちわるなるけどな。」
「ムウマージもにんげんになれるかな~」

そうだ、そういうことだ。俺たちが入ったらどうなるのか。

「やったことないから分かれへんけど、昔恐ろしいポケモンができたっちゅー話や。人間の制御をまったく受け付けず、今はどこかの洞窟に眠ってるとか言う噂があるな。」
「なるほど。出してはやるが俺たちの目的を言うことはできない。」

(「それを早く実現すればそんなことを言う必要もなくなる…」)
俺は小さくつぶやいた。

さて赤いボタンだったな。押して―しかし身長が足りなかった。
「ミミロップ、頼む。」
なんと情けない。


最後に俺はマサキに言った。
「俺たちのことは忘れろ。研究に没頭しろ。」

人間に見つかったことはこの際仕方がない。
それに、この装置は最後の望みでもある。
ミミロップがボタンを押すと、カプセルの中に白い煙が充満していった。

「今のうちに出るぞ。」

――ディグダの穴に戻った俺たちは次の作戦を考えることにした。
「どうだった?僕の知り合いは。」
「人間だったぞ。」
「えっ?」

「ねえピカチュウ、あのマサキが言ってた恐ろしいポケモンってなんだろう?」
「ギャラドスじゃないですかね。」
「シンオウにいっぱいいたけど~」

名前はかすかに聞いたことがある。確か、ミ…なんだったか思い出せないが。

「ピカチュウの力でそいつも手下にしちゃおうよ!」
ミミロップの一言で次の作戦が決まった。そいつを手下にできれば俺の目的も早く達成するだろう。

「行くぞ!!」
俺は勇んで立った。
「どこにいるかわかるの~」

…知らなかった。なんと情けない。

しかしこの時そのポケモンがアルセウスクラスの強さだということは知る由もなかったのである。


「…わからん。」
そう答えるとミミロップはため息をつき、いつもの俺の呆れた時の真似をした。
「ふぅ、やれやれ…ね。」
「やれやれ、ですね。」
「やれやれ~。」
ロゼリア達もそれに続き真似をする。
ぐぐ…こいつら…。

「じゃあ、いつも通りにやるしかないわね。」
「そうですね…。道中、何か知っているポケモンもいるかも知れませんし。」
「そだね~。」
決まりか…。
よし…「で…
「では、そうするとしよう…。」
俺の言いたかったことをミミロップが俺の真似をし先に言う。
「うむ、そうだな、です。ディグダさんに聞いたイワヤマトンネルを抜けて、シオンタウンに行くルートを進んでみるとしよう、です。」
「よし、さっさといくぞ~。」
ロゼリア達も真似をし答える。

「い、いい加減にしろ!!」
「きゃはは!ピカチュウが怒った~!」
「あはは!怖いです~!」
「にっげろ~!」
「ま、待てえ!」

ディグダの穴をクチバの方から抜け、イワヤマトンネルに向かう。

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