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第11章

ディグダに案内され無事洞窟を抜ける。
「案内、ご苦労。」
ディグダが申し訳なさそうに口を開く。
「その…僕は事情があってこれ以上ついていくことはできないけど、巣の仲間にも同じ話しといたげるよ。」
「事情とは?」
「君たち街中とか建物の中とか歩くこともあるんでしょ?掘り進めないところは、その…。」
ああ、なる程。そういうことか。
「そういうことならば仕方ない。では仲間の件は頼んだ。」

ミミロップが不思議そうに問う。
「え?普通に歩けばいいじゃない。」
「いや…その……。」
ディグダが困っている。事情も知らずに余計なことを…。
「俺がそれで構わないと言っている…。」
俺はミミロップを睨む。
「な、なによ~?ま、いいけど…。」

ディグダ族の下半身を見た者はいない。これが何を意味するのかはわからないが、ディグダの下半身を見たものは、記憶を消されてしまうだの気がふれてしまうだの下らない噂もトキワの森で一時期流行った程だ。
危ないものには近づかないのが賢い生き方である。


ディグダと別れ洞窟の外に出ると…。
「ふう~。やっと追い付きましたわ。」
ミロカロス…?隠れ泉の一件以来姿を消していたようだが…。
「…今まで何をしていた?」
ミロカロスがニコリと微笑む。
「そのことについてもお話があります。ここじゃ話しにくいですわ、少し二人きりになれません?」
「…いいだろう。お前たち、下がれ。」
「…(な、なにぃ~?二人っきりぃ?)」
「はい。」
「わかった~。」
手下達を離れさせた。

「それで、話とは?」
ミロカロスが小声で話す。
「アルセウス様についてお話が。」
「!?何故、奴のことを知っている!?」
俺は驚き声を上げる。
「しっ、お静かに。聞こえてしまいますよ。…私はパルキア。いえ、元パルキアと言ったほうがいいですね。」
!?
「…どういうことだ。」
しばらくの沈黙の後、ミロカロスが口を開く。
「あの御方は最期に普通のポケモンとして生まれ変わることを望まれました…。ディアルガと私も普通のポケモンとして生きることを望みました…。」

アルセウス…。

「…テンガン山でまた現れたあの龍は?」
「魂の籠もっていない脱け殻といいますか…今までのような力はありません。」
「なる程、やはりそうか…。…アルセウスは…どうしている?」
ミロカロスはうつむき答える。
「…………わかりません。…ボーマンダに生まれ変わったディアルガと共に随分と探し回ったのですが…。」
「…………そうか。」

「…そう、あの御方から預かっているものがあります…。」


「これを…。」
ミロカロスから金色の腕輪を渡された。アルセウスの背中に付いていたリングの様なものに形が少し似ている…?
「これは…?」
「友への贈り物、らしいです。…身に付けてみてください。」
言われたとおりにつけてみる。腕に何かをつけている違和感が無いほど、俺の腕にフィットする。

「腕輪に意識を集中してみてください。」
言われた通りに腕輪に意識を集中してみると、腕輪の周りに16個の色の違う光球が現れ、ふわふわと腕輪の周りを回りはじめる。
「な、何だ!?」
「そうですね…ではあの岩に試し撃ちをしてみましょう。光球のどれでも好きな色に意識を集中させ、手の平をあの岩に向けてみてください。」
そうだな…とりあえずこの緑色の光球にしてみるとしよう。
意識を集中させ岩に手の平を向ける。
するとキィンッと音が響いて緑色の光球が強く輝き、緑色の光が手の平から放たれ岩に命中する!
…が、

ポフッと音がしてその当たった部分に花が一本生えただけだ………。
「ふっ、ふふ……さ、最初はこんなものです、ふくく…」
ミロカロスは笑いをこらえている…。
「………何だこれは。」
「その腕輪の力です。使いこなせるようになれば、人間が言うところの『目覚めるパワー』くらいの威力は出せるはずです。」
「ほう。」

「…その腕輪を持っていれば、いつかまたあの御方とと出会える…そんな気がします。例えあの御方が前世の記憶を無くしていたとしても…。」
「…………。」


「私はまたボーマンダと共にあの御方をを探す旅に出ます。すみませんが今はあなたの協力はできません。」
「…そうか。」
「それでは…。」
ミロカロスは去っていった。
「……………。」

ミロカロスが離れ話が終わった事に気付いた手下達が駆け寄ってくる。
「…ねえ、何の話だったの?」
ミミロップが不機嫌そうに聞いてくる。
「…他愛もない話だ、気にするな。」
「ふぅん…別にいいけど。」

「ね~、そのぴかぴかのうでわなに~?」
「奴に貰った。…目覚めるパワーの様なものが使えるらしい。」
「へえ、便利ですね~。」
「ふん、良かったわね!(何よ~!?あの女、貢ぎ物でピカチュウを釣る気~!?)」
…?
「もういいだろう、さっさとトキワの森に向かうぞ。」

この後、しばらくミミロップは不機嫌だった。
俺が何をしたというんだ?


ようやくトキワの森に到着した。
「…これが…トキワの森…?」

ここがトキワの森?
俺の生まれ育った森がここなのか?
森にある木全てがなぎ倒され、もはや森とは呼べない状態になっていた。
「な、何ここ…」
「なんか様子が変です~!」
「こわーい」

森にいるキャタピーに話を聞いてみることにした。
「おい、キャタピー。何があったんだ?」
「う、うわぁ!ピカチュウだー!殺されるー!逃げろー!」
「お、おい、待てよ!」
「…ここの人達はピカチュウを恐れているんでしょうか?」

トイレで出会った俺にそっくりな奴が頭をよぎった。
もしや、アイツの仕業か…?


他の奴に聞いてみるか…。
「此処は皆で分かれて捜索したほうがいいだろう。20分後集合な。」
俺たちは4人に分かれて捜索することになった。

「おい、バタフリー。何があったんだ?」
「キャー!ピカチュウよーっ!」

なぜ森のポケモンは俺に恐れる?…あそこにスピアーがいる。話しかけるか。
「おーい、スピアー。何があったんだ?」
「ピカチュウだ!くらえー!」
スピアーは2つの針を俺に向けて突進してきた。
仕方なく俺は10万ボルトをして気絶させたんだが…何があったんだ?この森に。

その頃、ムウマージは…。
「だれもいない~。ピカチュウ、なにかみつかった~?」
「いや、何も見つからん。」
「いまのピカチュウ、ちょっとへん~。くろっぽい~。」
「そう…。お前はちょっと眠ってもらおう。」
「どういう意味~?意味分からない~。」
そのピカチュウは電気を発して、ムウマージは気絶した。


その後、特にたいしたものは見つからず20分が経過した。

「皆、何か見つかったか?」
「僕は皆、隠れているようで何も見つからなかったです。」
「私はコクーンからちょっと話を聞いてきたけどピカチュウがいきなりやってきて森にいる木やポケモンを次々に倒していったらしいよ。」
「ムウマージ、なにもみつけてな~い。」

これ以上此処にいても無駄だろう…。
俺たちはディグダの洞窟に戻ることにした。


トキワの森を出た後、ムウマージが俺に話をかけてきた。
「ピカチュウ、ちょっとふたりきりではなししよ~。」
「なんで二人きりじゃないと駄目なんだ?」
「たいせつなはなしある~。」
「そうか…。お前等は先に戻ってろ。」
「はい。」
「…(また~?ムウマージは何を考えてるのかしら!)」
手下たちはディグダの洞窟の中へと入っていった。

「で、大切な話とはなんだ?」
「じつはね、私ね。」
「ムウマージじゃねーんだよ。」
ムウマージの姿は変わりだし、ピカチュウとなった。
「…俺になんのようだ。冷やかしになら返り討ちにするぞ。」
「別に特に大きな用はない。ちょっとお前に言いたいことがあっただけだ。」
「んな事はどーでもいい。本物のムウマージは何処だ。」
「…お前にこき使われる手下の気持ちを考えたことはあるか?」
「黙れ、ムウマージは何処だ。答えないんだったら力づくで聞くぞ。」
俺は手に電気をためた。
「こんな所でのんびりしていいのか?トキワの森で今頃…。」
「何っ!?」
気がついたらアイツは消えていた。
…俺はトキワの森へ急いだ。


「ムウマージ!どこだっ!?」
トキワの森に着くと、ムウマージは木に縛り付けられ、大勢の森のポケモン達に襲われていた。


「ピカチュウ、たすけて~」
「仲間に手出しするのはやめてもらおうか?」
俺は電気を溜める。

「邪魔する気?なら少々痛い目にあってもらわないとねぇ」
…コイツはさっきのバタフリーのはずだか、さっきとは様子が全然違う。
頬の黒いピカチュウに操られてるのか?
まぁ誰にしろ、歯向かうならば俺も容赦するつもりはない。

「10万ボルト!」
「きゃあああ~!」
所詮トキワの森で生活しているポケモンだ。
シンオウで鍛えあげてきた俺の実力には到底及ぶまい。


俺はムウマージを縛り付けていた糸のようなものをとってやった。
「ムウマージ、大丈夫か?」
「ちょっときぜつしてただけ~。だいじょうぶ~。それよりあのピカチュウはなに~?」
「あれは…」
「う、うわぁー!またピカチュウが森のポケモンを倒したー!逃げろー!」
さっきまでムウマージを襲っていたポケモン達も意識が戻ったのだろう。悲鳴をあげて逃げ出したようだ。

「此処にいるのは危険だろう。洞窟に帰ってから説明するぞ。」
「わかった~。」
俺はムウマージと一緒にトキワの森を出て洞窟へ戻った。

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